エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.498
2016.07.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
自作PCブームと共に成長を続けてきたCooler Master Technology Inc.(本社:台湾)は、業界屈指の大手メーカーのひとつに数えられ、その動向は常に注目されている。
ひと頃に比べれば、確かにリリースサイクルは長くなっているものの、Cooler MasterのCPUクーラーは現在、ロングセラーにして代表作「Hyper」シリーズがコンスタントに売れ続けているようだ。中でも”稼ぎ頭”「Hyper TX3 EVO」(型番:RR-TX3E-28PK-J1)は極めてオーソドックスなスタイルながら、コストパフォーマンスに優れ、組み込み用途でも重宝されていると聞く。
一方で近頃の自作PC事情を反映し、奇をてらう”尖った製品”はしばらく鳴りを潜めている。しかし忘れた頃にとてつもない大物を市場に投入してくるのもまた、Cooler Masterだ。
記憶に新しいところでは、市場想定売価13,000円前後の高額モデル「V8 GTS」(型番:RR-V8VC-16PR-R1)は、2014年2月にリリース。ベイパーチャンバーを採用したTDP250W対応を謳う超ハイエンドは、価格なりの冷却パフォーマンスをもって、アッパークラスを志向するユースに受け入れられた。あれから2年、新たに投入されたのが今回の主役「MasterAir Maker 8」(型番:MAZ-T8PN-418PR-R1)というワケだ。
Cooler Master「MasterAir Maker 8」(型番:MAZ-T8PN-418PR-R1) 市場想定売価税抜18,500円(2016年7月8日発売) 製品情報(Cooler Master Technology) |
「MasterAir Maker 8」を取り上げる場合、避けて通れないのが、2万円にも達する市場想定売価だろう。この金額を他のアイテムに置き換えて考える事はナンセンスだが、採用ギミックや冷却性能を語る以前に、大いなるトピックになっている事は疑いがない。少なくとも「これで冷えなければ困る」というレベルである事は確かだ。とはいうものの、角度を変えばCooler Masterの自信の表れでもあり、既に高冷却が保証されていると捉える事もできる。それでもなぜここまで高額なのか。
本稿では「価格と性能」をキーワードに、単なる「価格」だけにとらわれない、「性能」からみた”コストパフォーマンス”を見極め、検証を進めていきたい。
「COMPUTEX TAIPEI 2016」のCooler Masterブースで披露された「Master Air Maker 8」 |
編集部に届けられた評価サンプルを箱から取り出す前に、スペック表から「MasterAir Maker 8」の概要を把握しておこう。なんといっても市場想定売価税抜18,500円(オープンプライス)から察するに、超ハイエンドな製品である事は間違いない。手元資料によると、TDP250Wサポートの「MasterAir Maker 8」は、これまでの最上位空冷モデル「V8 GTS」や水冷モデル「Nepton Series」が属するアッパークラスに位置し、想定用途はハイエンドゲーミングおよびオーバークロックとされる。製品コンセプトは実に明快だ。
CPUクーラーとしては複雑な「MasterAir Maker 8」の分解図 |
対応ソケットは、前世代から現在市場に流通する最新プラットフォームまで全てをカバー。外形寸法は135×145×H172mmで、重量は堂々の1kg超えとなる1,350gにも達する。140mm口径ラウンドファンをデュアル搭載させた”空冷モンスター” 「MasterAir Maker 8」。早速実機を元に、検証を開始しよう。