エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.499
2016.07.22 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
市場想定売価税込12,800円と言えば、ミドルタワーPCケースの激戦区。独自色を出すべく、各メーカーは外装デザインに工夫を凝らし、選択肢は実に多彩だ。一方でコストが限られてくるため、内部設計はオーソドックスなものがほとんど。
そんなライバルを尻目に、In Win「303」は一般的なミドルタワーPCケースとは一線を画す構造が目を引く。ここからはオリジナリティ溢れる内部に迫っていこう。
内部セッションの始めに、エアフローレイアウトを確認しておきたい。「303」独自の大きな特徴として、多くのモデルで装備されるフロントパネル裏に、冷却ファンの増設スペースはない。そればかりか、通気孔の類いもない。外装セッションでトップパネルにも通気孔が無い事を知っているだけに、「303」のエアフローレイアウトはどうなっているのだろうか。
フロントパネル裏面を見ると、冷却ファン増設スペースや通気孔は一切見当たらない。ちなみに国内市場で流通するモデルには、標準装備の冷却ファンはゼロだ。近頃のミドルタワーPCケースでは、かなり珍しい”事態”と言えるだろう |
防塵フィルタが備え付けられたボトム部。ここには120mm口径ファンが最大で3基搭載できる。底面からフレッシュな外気を内部に取り込む「吸気」にした場合、平行するグラフィックスカードが覆い被さる格好になる。反対に「排気」にした場合、最大3基の120mm口径ファンで一気に内部の熱を放出できる。ちなみにこのスペースには、最大で360mmサイズのラジエターも物理的には搭載が可能。
最大120mm口径ファンが3基搭載可能。マニュアルには敢えて記載されていないが、物理的には360mmサイズラジエターが搭載できる |
背面の冷却ファン増設スペースには、120mm口径ファン1基が搭載できる。「303」は冷却ファンがすべての箇所でオプション扱いとなり、必要分は別途用意する必要がある。なお搭載できるのは120mm口径ファン1種類のみと割り切られている。
リア方向に張り出した、ハニカム状の通気孔には120mm口径ファン1基が搭載可能。もちろん120mmサイズラジエターも固定できる |
スペック表的に「トップファン」と称されるものの、”内部上段”に用意される増設スペースをチェックしよう。
シャーシの上部には左右のエリアを分断するハニカム状のプラスチック製パーティションが装着されている。よく見ると、上下にスリットが設けられており、ここに冷却ファンをネジ固定できる仕組み。PCケース幅を全て使うことで120mm口径ファンが最大3基増設できる。通常冷却ファンは、吸気 / 排気のいずれかが外部に面して搭載されるワケだが、「303」は冷却ファン自体が内部に”閉じ込められる”事になる。さらに左サイドパネルは強化ガラスで通気孔はなく、右サイドパネルに設けられた通気孔だけが外気と直接アクセスできる、唯一の手段というワケだ。
ラジエターについては、最大で360mmサイズまでの対応。とは言え、この後解説する電源ユニットマウントスペースと一部を共有するため、額面通りには行かない |
「303」のエアフローレイアウト |
少々特殊なエアフローレイアウトだが、どうやらIn Winの主張はこうだ。まずボトム部に120mm口径ファンを設置。これで実測約25mmのスペースから外気を吸い上げる事ができる。そして内部上段の増設スペースに、120mm口径ファンを設置。構成パーツから発せられる熱は上昇するため、右側面上部の通気孔と、リア120mm口径ファンの力も借りて、外部に排出させようという事のようだ。
なお国内代理店のアユートによると「303」のエアフローレイアウトは「煙突効果」が主たるコンセプトと説明する。なるほどフロント部分を密閉する事で静音性を高め、内部の熱を上昇気流と排気ファンで一気に排出させようというワケだ。ただしこの理想型は、オプション扱いの120mm口径ファンを、それぞれの箇所に増設しなければ構築できない事を覚えておこう。