エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.499
2016.07.22 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
電源ユニットは、ハニカム状のパーティション右側のエリアにマウントされる。縦置きの特徴的な設計により、マザーボード搭載エリアの空間を広く確保できた。一方で電源ユニットの冷却ファンはPCケース内部に向けてのマウントになる。PCケース内部からの吸気を気にする声はどうしても出るだろう。右サイドパネルの電源ユニット設置部分に相応の通気孔を設け、外気を取り入れるレイアウトは想定しなかったのだろうか。ここは高効率な電源ユニットをチョイスし、少しでも懸念を軽減しておきたい。
搭載テストにはIn Win「CLASSIC」シリーズとなる「C900 W」(奥行き165mm)を用意。現時点国内未発売モデルで、80PLUS PLATINUM認証の高効率が特徴のフルモジュラーモデルだ | |
有効スペース公称最大200mmに対し、165mmの電源ユニットはなんら問題無し。なお冷却ファンは、ハニカム状のパーティションに面する位置関係になるよう設計されている |
次に水冷ラジエターを搭載してみよう。「303」の冷却ファン搭載スペースは、上部に120mm口径×3基、ボトムに120mm口径×3基、リアに120mm口径×1基。いずれも当該サイズのラジエターがマウントできる。リアについては最も一般的なオールインワン水冷ユニットである、120mm口径ラジエターの指定席。その他、上下2箇所の搭載スペースに注目してみたい。
120mm口径ファン3基増設に対応する、上部冷却ファン搭載スペース。とは言え、裏エリアには電源ユニットがマウントされるため、現実的にはスペースをフルに活用できない |
ハニカム状のパーティション右エリアには、最大200mmまでの電源ユニット搭載スペースが割り当てられている。つまり、120mm口径ファン最大3基の搭載は物理的には可能でも、実際には2基までと考えるべきだろう。
電源ユニットの搭載テストでは、奥行き165mmのIn Win「C900 W」を右エリアにマウント。パーティションを挟んで左エリアの”純粋な空きスペース”に、240mmサイズラジエターを搭載。両者のエアフローを干渉せずに共存できた。
電源ユニットの冷却ファンと、ラジエターの冷却ファン、両者のエアフローをスムーズに確保するならば、240mmラジエターが最大サイズ。なお左エリアは高さ約90mmまで対応。厚みのあるラジエターでも搭載できる |
最後は大判の防塵フィルタを備えたボトム部に、ラジエターを搭載してみる。ボディ前後方向のスペースには余裕があり、最大360mmサイズラジエターが収まる。唯一懸念されるのは、真上にグラフィックスカード等、拡張カードが覆い被さること。限られた内部容積を分け合うため、この程度は仕方がないだろう。うまく折り合いをつけて構成を練るのも、自作PCの楽しみでもある。
搭載テストでは、ラジエターの冷却ファンを排気方向にマウント。なおボトム部と設置面の空きスペースは実測で約25mmだった |
In Win「303」はとてもスマートなPCケースだ。外観スタイルは実に洗練されており、フロント右列のイルミネーションギミックもクール。借り受けた検証機はブラックだったが、ホワイトボディとチョイスに迷うだろう。
内部構造を振り返ると、同価格帯ミドルタワーPCケースの基本には目もくれず、独自設計がアピールされている。「303」の設計は、上部のハニカム状パーティションが「核」となり、モデルの性格を決定付けている。左サイドパネルの強化ガラスの存在により、”魅せるPCケース”がコンセプトの上位にある事は間違いないだろう。一方で、実は”静音志向”の強いPCケースである事を知った。
フロントパネルとトップパネル、さらに左サイドパネルは完全密閉状態。この3面には冷却ファン増設スペースが無く、物理的に動作音は発生しない。反面、エアフローが懸念されるものの、イマドキ構成パーツのチョイスで補う事は十分できるだろう。
勢いが止まらないIn Win。新型ミドルタワーPCケース「303」も日本の自作市場にすんなりと受け入れられるだろう。