エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.508
2016.08.22 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
特徴のひとつ、カラーイルミネーション機能が異彩を放つ。ブラックカラーの「DS 230」は、フロントパネル上下2ラインとボトム部にLEDを内蔵。「LEDカラースイッチ」と「LEDモードスイッチ」を操作すれば、7色のLEDマルチライティングにより、好みのカラーにドレスアップができる。
フロント寄りトップパネルに搭載された「LEDカラースイッチ」(右から2番目)と「LEDモードスイッチ」(右から3番目)。このスイッチで内蔵LEDイルミネーションが操作できる |
LEDイルミネーションの内、PCケースの足下を照らすボトム部はどうなっているのだろうか。ここでは組み込みや完成後の運用にはなんら関係が無い、ボトム部を分解した”内部構造”をチェックしてみたい。
ボトムパネルのプラスチック製台座を取り外すと、シャーシ底面があらわになる。そこには両サイドとフロントを「Uの字」に囲むLED光拡散用の板が装着されていた | |
さらに1枚板の「Uの字」を外すと、外周にはLEDストリップが張り巡らされている。これがボトム部を足下を照らすLEDイルミネーションの仕掛けだ |
LEDマルチライティングは、「LEDカラースイッチ」を押す毎に7色に変化。好みの色が設定できる。さらに「LEDモードスイッチ」ではLEDのONとOFF、さらに各色が点滅していく「Breathe」機能も選択できる。「DS 230」自体カラーバリエーションが無く、ブラックの1色展開。だがLEDライティング機能を備える事でこれを補い、1台で複数のカラーバリエーションを楽しむことができる。
LEDマルチライティング機能は、単にLED発光を楽しむだけでなく、システムの状況をLED発光で知る「インテリジェントPWMファンコントロールシステム」を備えている。
「LEDカラースイッチ」はプッシュする毎に7色のカラーに切り替わり、さらに8回目のプッシュでLEDが2回点滅。「PWMモード」に切り替わる。マザーボードトレイ背面に固定されている「ファンコンハブ」基板に接続された冷却ファンが、それぞれのPWMカラーに発光。システム連動で冷却ファンの回転数が制御される。
久々に触れたAerocool製PCケース。新作「DS 230」は現在市場で人気のミドルタワーPCケースと比べても、十分に勝負できるイマドキの設計に仕上げられていた。それは決して”無難”ではなく、しっかりと独自の機能を盛り込んでいる。
7色のLEDマルチライティングは、インテリジェントPWMファンコントロールシステムを加える事で、単に発光を楽しむだけの既存モデルと差別化。LED光拡散用の板を介する事で、LED特有の強い輝度を和らげた、上質なライティングギミックは好感が持てる。
サイドパネルにアクリル窓が装備されていないことに、難色を示す声もあるだろう。ただし「DS 230」の基本コンセプトはあくまで「静音」にある。
LEDライティング機能をチェックするにあたり、システムの高負荷状況を作り出す検証を行ったが、高密度遮音素材による二層構造の効果はハッキリと確認できた。高速回転する冷却ファンの駆動音は明らかに音質を変え、”閉じ込め効果”を明確に実感できる。LED発光ギミックを備えたマザーボードや、アクリル窓付きPCケースは現在の流行だが、一方でそれを必要としない、静音PCの構築をメインに据えた自作ユースには、限られた選択肢のひとつになり得るだろう。
褒めてばかりでは気味が悪いため、最後にひとつだけ指摘すると、フロントパネルの着脱のしにくさは改善を願いたい。しかし、そんな些細な点のみが要望であるからこそ、このモデルの完成度の高さが際立つ。