エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.509
2016.08.27 更新
文:GDM編集部 池西 樹
パフォーマンスの検証が一段落したところで、ここからはストレステスト「Fire Strike Ultra Stress Test」を使い、オリジナルクーラーの実力を検証していこう。高負荷時は、ストレステスト実行中の最大値、アイドル時は起動直後10分間何もせず放置した際の最低値をそれぞれ採用している。
GPU温度計測(℃) | |
「Fire Strike Ultra Stress Test」開始から10分経過した時点のサーモグラフィー結果 |
アイドル時はファンの回転が完全に停止するにも関わらず温度は40℃半ばで推移し、大型ヒートシンクの冷却性能は非常に優秀。さらに今回の検証ではテスト中にGPUの温度が75℃を超えることは一度もなく、高負荷時でも安心して使用することができる。またテスト実施中の様子をサーモグラフィーで確認すると、バックプレート部はやや温度が高いものの、冷却ファンのある表面は緑や青が大半を占め、効率的に冷却ができているようだ。
ファン回転数計測(rpm) | |
騒音値(dBA / 暗騒音33.1dBA) |
次にファンの回転数を確認すると、最も高い「Ultra」の高負荷時でも約50%の1,800rpm前後までしか上がらず、まだまだ余力を残している状態。ノイズも最高37.9dBAで、バラックでもファンの風切音が気になることはなかった。
ベンチマークのラストは消費電力を確認しておこう。こちらも測定は「Fire Strike Ultra Stress Test」実行時の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。“Wattup Pro”を使用して消費電力を計測している。
消費電力計測(W) |
「Ultra」では、コアクロックに加えてコア電圧も調整されているため、高負荷時は14.3Wとやや大きな差がついた。とは言え、消費電力は200W前半と低く抑えられており、従来のミドルレンジグラフィックスからの買い替えでも電源ユニットの交換をする必要はないだろう。
現行最も一般的なフルHDはもちろん、WQHDやゲームによっては4Kクラスも視野に入る良好なパフォーマンスを発揮するRadeon RX 480。AMD製GPUのウィークポイントであった消費電力も劇的に改善され、ミドルレンジからのアップグレードだけでなく、これまで発熱や消費電力に悩まされていたハイエンドモデルからの買い替えにもオススメ。さらにややスマートさには欠けるもののCrossFire Xによるアップグレードパスが残されているのも大きなメリットだ。
「Red Devil Radeon RX 480」は、「DEVIL」シリーズの名が表す通り、ユーザーを”誘惑”する魅力的な製品に仕上げられていた |
そして、今回の主役である「Red Devil Radeon RX 480」に目を向けると、オーバークロックによる性能アップを果たしつつ、冷却性能や静音性も非常に優秀。電源回路も高品質なコンポーネントで固められるなど耐久性・信頼性にも不安はない。さらに価格差も2,000円前後と小さいことから、今後購入するならリファレンスモデルを敢えて選択する理由はない。ハイエンド並のカード長はケースを選ぶものの、サイズの問題さえクリアできれば必ずや満足できる1枚となることだろう。