エルミタ的一点突破 Vol.41
2016.09.02 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
続いて動作クロックを定格に戻し、標準運用での冷却ファンの回転数と騒音値をチェックしていこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値、高負荷時はストレスツール「OCCT 4.4.2:CPU」を実行後30分経過した時点での数値をそれぞれ採用している。
冷却ファン回転数 | |
騒音値(暗騒音31.1dBA) |
ファンの回転数は、アイドル時が560rpm前後、高負荷時でも1,200rpm前後までしか上がらず、冷却性能にはまだまだ余力がある状態。また騒音値も35dBA前後で推移しており、その静音性は非常に優秀。“Non-K”モデルで、リファレンスクーラーの風切音が気になっているなら「白虎」への買い替えをぜひオススメしたい。
最後に非接触型デジタル温度計と簡易サーモグラフィを使い、ヒートシンク部のポイント別温度をチェックしておこう。こちらも定格クロックで、「OCCT 4.4.2:CPU」を実行後30分経過した時点での状態を測定している。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果(単位:℃) | |
高負荷状態30分経過時のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度計測は、受熱ベース部が最も温度が高く、熱源から遠くなるにつれ次第に温度が低くなるセオリー通りの結果。またサーモグラフィの画像では、ヒートパイプ付近の温度が周辺よりやや高く、ヒートパイプによる熱輸送が効率的に行われている事が確認できた。
「虎徹」は、近年のサイズを代表する大ヒットモデルであり、自作市場での知名度の高さはここで紹介するまでもない。
「虎」つながりで兄弟モデルを連想させる新作「白虎」は、「虎徹」の”アタマ”がサイドパネルにぶつかる小型PCケースのユーザー向けに企画。選択肢が少なく、貴重な全高130mmのサイドフロー型CPUクーラーとして完成した。
肝心な冷却性能は、テストセッションが示す通り。92mm口径ファンは心許ないというイメージは単なるイメージでしかなく、最大回転数までの余力を残して、Core i7-6700Kを淡々と冷却する。加えて、税抜2,680円に据えた市場想定売価は脅威であり、(存在すれば)「冷却能力対単価」は群を抜いている。静音性も確保された「白虎」は、大口径冷却ファンと大型ヒートシンクで組み合わされた多くのサイドフロー型CPUクーラーの存在を、あらゆる面で否定しかねない。
折しも先に行われたイベントでは、次期モデル「IZUNA」のプロトタイプが披露されている。しかし「白虎」は自社ラインナップの存在意義を難しくさせる、完成度の高い小型サイドフローだった。