エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.515
2016.09.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
店先のディスプレイに一目惚れして衝動買い。いざ部屋に持ち込むと「こんなはずではなかった・・・」という苦い経験は誰しもあるだろう。EVGA「DG-87」はこの感覚に似て、台湾で実物を見た時によりも、編集部に届けられた現物はあまりにも巨大。撮影用の背景紙からはみ出し、執筆中の今現在も持て余している状況が続いている。しかし独創的な設計と存在感はこれまで例がなく、検証のやり甲斐がある事だけは間違い無い。
EVGA「DG-87」(型番:100-E1-1236) 市場想定売価229.99ドル 製品情報(EVGA Corporation) |
このモデルの魅力はどこか。それはこれまで例の無い、妙な設計コンセプトにある。
「DG-87」には、大型のサイドウインドウが搭載されている。単なる実用的な機械としてだけでなく、マザーボードやグラフィックスカード、さらにはチューブが複雑に入り組んだDIY水冷を眺めて楽しむことができる。ここまでは、自作PCならではの”魅せるPC”を最大限楽しもうという流行のスタイル。だがそれだけでは飽き足らず、大胆にもサイドウインドウをPCケースの正面に見据えて設計されているのだ。
従来型PCケースの左サイドパネル側を「FRONT」と見立てて設置する、一見”大画面液晶テレビ”のようなスタイルを採用 |
つまり一般的なPCケースの左サイドパネルが「正面(FRONT)」であり、「右側(RIGHT)」が従来で言うフロント、「左側(LEFT)」は本来ならリアといった具合。これまでマザーボードの背面に当たる右サイドパネルが「リア(REAR)」というワケだ。
このスタイルは以前詳細検証をお届けした、Thermaltake「Core P5」の考え方に似ている。「Core P5」のセミオープンフレームに対し、「DG-87」は従来のBOX型PCケースという、明確なアプローチの違いがある。
次にスペック表の数値から「DG-87」を学ぼう。外形寸法は幅が270mmといきなり規格外。奥行きは686mm、高さは642.45mmもあり、「余計な所はスリム化させよう」といった考えは、設計者のアタマに一切ない。また開口部の広いアクリルウインドウは左開きで開閉。フルタワーPCケースのサイドパネルとあって面積が広く、開閉時は身体を横に傾けてドアの軌跡を避けなくてはならない。ともかくデカイのだ。素材はシャーシがスチール製で、外装パネルの凝った成形部位はプラスチック製。総重量は19.6kgで、およそ小学校1年生の平均的体重に相当する。
「COMPUTEX TAIPEI 2016」期間中に開催された、EVGAのプライベートルームによる展示会。自慢の新作「DG-87」を紹介してくれたのはEVGAのホスト役Steven Chen氏 |
「DG-87」とは、EVGAの「GD-8」シリーズの一角を担うファミリーの長兄にあたる。製品サイトを確認すると、計4種類のバリエーションで構成され、価格は「DG-87」の229.99ドルを筆頭に、「DG-84」の149.99ドルまで。もちろん共通のシャーシを使用し、アクリル窓の有無やドライブベイ数、標準搭載される冷却ファンの有無などで差別化が図られている。