エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.519
2016.10.06 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
外観デザインのチェックを終えたところで、次に内部構造に迫っていく。Mini-ITX規格に対応するスリム型筐体だけに、ここまで作業は実にスムーズ。本来の「性能」や製品の善し悪しとは関係のないところだが、検証を行う上での圧倒的な扱い易さについて言えば、近ごろでは例がない。
「Chopin」の構造を示した図。軽量コンパクトな筐体は、構成部材の点数も限られている |
ここで「Chopin」のエアフローレイアウトを確認しておこう。スリム筐体を採用するだけに、本体には冷却ファンは搭載されておらず、増設すらできない。限られた内部容積の気流を動かす手段は、トップフロー型に限定されるCPUクーラーで、あとは外部との接点になる通気孔の存在のみだ。拡張スロットが無いだけに、熱源となるグラフィックスカードの増設は考慮されていない。ストレージが発熱する事は事実だが、CPUクーラーに搭載される冷却ファンの”スムーズな吸気”と、ヒートシンクに吹き付けて温度が上昇した空気を”スムーズな排気”で処理できれば、最低限の事は足りると考えるべきだろう。
「Chopin」のエアフローレイアウト。メーカー曰く、サイドパネルの通気孔の矢印は「内部から外」に向いているものの、トップフロー型CPUクーラーの吸気を考慮すれば「外から内」が正解ではないだろうか |
冷却ファンが搭載できない「Chopin」。PCケースの検証では、内部構造セッションがキモだが、内部が狭いコンパクトな筐体は分が悪い。次にチェックするドライブベイレイアウトも、あまり自慢ができるようなシロモノではなく、2.5インチSSDが2台のみの増設に留められている。ただし救いなのが、近頃ではSSDの容量単価が安く、マザーボード背面にM.2スロットを備えたモデルも存在する。USB3.0接続で外付けストレージを使ったり、オンラインストレージという手もある。モバイル端末の普及により、ネックとなるストレージの解決策および選択肢がたくさん存在する。拡張性が不利なミニPCも、これらを上手に利用すれば、思うほど不便を感じる事はないだろう。
シャドウベイはマザーボードの背面にあたるエリアに、2.5インチ×2台分が用意される | |
2.5インチSSD(HDD)は、それぞれ専用のトレイに底面ネジ留めでマウント。最終セッションでは実際にSSDを搭載してみよう |
「Chopin」には容量150Wの電源ユニットが標準で装備されている。型番を確認すると「IP-AD150A7-2」とあり、In WinのWebサイト(Power Supplyカテゴリ)にも掲載されているカタログモデルだ。スリム型PC用の小型電源ユニットながら、80PLUS BRONZE認証を取得。出力スペックは+12Vシングルレーン10Aで、40mm口径冷却ファンを内蔵。外形寸法はW52×L170×H40mmとされる。
コネクタ数も確認しておこう。ATX24pinメイン×1、CPU補助4+4pin×1、FDD×1、SATA×1で、必要最低限の装備。なお「Chopin」は2.5インチSSDが2台搭載できるため、SATA電源2分岐ケーブルが付属されている。
40mm口径ファンの搭載位置は右端の底面。よく見るとシャーシ面には通気孔があった。4mm厚アルミニウムパネルの凹凸デザインは、吸気スペースの確保という目的があったようだ | |
電源ケーブルは3pinのミッキータイプ | ATX24pinメイン |
CPU補助4+4pinは分離タイプ | SATAとFDDは、24pinメインコネクタから分岐する形で接続されている |