エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.520
2016.10.21 更新
文:GDM編集部 池西 樹
さてベンチマークによるパフォーマンス検証が一段落したところで、ここからはストレステスト「Fire Strike Ultra Stress Test」を使い、オリジナルクーラーの冷却性能を検証していこう。高負荷時は、ストレステスト実行中の最大値、アイドル時は起動直後10分間何もせず放置した際の最低値をそれぞれ採用している。
GPU温度計測(℃ / 室温22.3℃) | |
「Fire Strike Ultra Stress Test」開始から10分経過した時点のサーモグラフィー結果 |
アイドル時は冷却ファンの回転が完全に停止するものの、GPUの温度は47℃以下に収まりヒートシンクのみで十分冷却が可能。高負荷時は70℃前後になるようファンの回転数が調整されており、高負荷時でも発熱の心配はない。またサーモグラフィの結果をみると、冷却ファンが実装される表面はおおむね緑や黄色で放熱も良好。背面部はGPUや電源回路のある後方の通気孔部分が高めになることから、ケース内のエアフローを調整してやると、さらに冷却効果が上がることだろう。
ファン回転数計測(rpm) | |
騒音値(dBA / 暗騒音33.1dBA) |
続いて冷却ファンの回転数を確認していこう。今回の検証では最も回転数が上昇した状態でも約50%の1,925rpmまでしか上がらず、冷却性能はまだまだ余裕がある。ノイズは最高42.4dBAで、最近のクーラーにしてはやや大きめだが、比較的低音のため実際の数字ほどうるさく感じることはない。PCケースに収納してしまえば十分抑え込むことができるレベルだ。
ベンチマークのラストは消費電力を確認しておこう。こちらも測定は「Fire Strike Ultra Stress Test」実行時の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。“Wattup Pro”を使用して消費電力を計測している。
消費電力計測(W) |
Skylakeでは最も消費電力の大きいCore i7-6700Kとの組み合わせにも関わらず、定格相当で最高242W、標準でも最高251Wまでしか上がらず省電力性は優秀。新規にPCを組み立てるなら公称値通り500Wクラス、アップグレードの場合は従来のミドルレンジクラスからの換装であれば、特に電源ユニットを交換する必要はないだろう。
ハイエンドグラフィックスカードを必要とした、WQHDや4K解像度、VR環境に対応するAMDのアッパーミドル、Radeon RX 480。消費電力はミドルレンジクラスと同等レベルまで低減され、非常にバランスのよいGPUに仕上げられている。そして今回検証したXFX「RX-480P8DBA6」では、VGAクーラーの冷却性能や、ギリギリの電源供給能力など、リファレンスモデルの欠点も解消され、その完成度は非常に高い。
セミファンレス機能やLEDライティング、デザイン性を兼ね備えたオリジナル仕様のバックプレートなどイマドキのグラフィックスカードに求められる機能もほぼ網羅。加えて着脱式の「Hard Swap Detachable Fan」によるメンテナンス性の高さも長期間の運用を検討している人には重要なポイントになるだろう。やや長めのカードサイズは唯一のマイナスポイントだが、高い冷却性能や堅牢な電源回路とのトレードオフと考えれば納得できる。「Hard Swap Detachable Fan」のメリットを最大限に生かすために、ドスパラにはぜひオプションファンの取り扱いを検討してもらいたい。