エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.523
2016.11.02 更新
文:GDM編集部 Tawashi / 絵踏 一
ハードチューブの加工が終わったところで、いよいよ精製水の注入。と行きたいところだが、その前に重要なセッションが残されている。「脱脂」だ。これを怠ると、フィッティングに取り付けたハードチューブが非常に抜けやすくなり、水漏れの原因となる。
そこで、一度仮組みしたハードチューブを全て取り外し、チューブの端はもちろん、フィッティングの中もしっかりとタオル等で拭く。すでにケース側に取り付けたフィッティングも同様。とにかくハードチューブの接続部分は全てきれいに脂分を拭き取っておこう。そして「脱脂」が終わった後、ハードチューブを本組みする。
油分を取り除く表面処理、いわゆる「脱脂」作業は大変重要だ。薬剤など使う必要はないが、タオル等で入念に脂分を拭き取る | |
フィッティングの中も入念に拭き取り。これでフィッティングに差したハードチューブの接合力は格段に向上する |
「脱脂」を終え、ハードチューブの取り付けが完了したら、精製水の注入を開始する。ここでの目的は3つ。まずひとつはポンプが正常に動作し、精製水がきちんとシステムを循環するのかを確認する。用意した1,000mlの精製水を全て入れたら、「通電テストキット 24ピン ATXブリッジツール」を電源ユニットに接続。ポンプのみを動作させ水冷システムの動作テストを行う。
なお、ポンプ一体型リザーバー「Pacific PR22-D5」は出荷時の設定でポンプ出力が最高の「5」になっている。「Core P3」を使ったシステムには強力すぎるので動作音も軽減する「2」に設定しておく事をオススメする。
リザーバーにある程度入れたところでポンプをオン。空になったら継ぎ足す動作を繰り返し、用意した精製水はのちほど入れるクーラント液と同じ1,000mlを注入する | ポンプ出力の設定は「Pacific PR22-D5」ボトム部分で変更できる。マイナスドライバーを使って「2」に設定しておけばいい |
ふたつ目はリークテスト。各フィッティングから水が漏れていないか指を当ててじっくり確認する。もし気になるようであれば、ウォーターブロック周りなど水が漏れたら困るエリアはタオルなどであらかじめ養生をしておこう。
フィッティングに直接触り、濡れていないかを確認 |
そして最後は、システム内部の不純物の除去だ。加工したハードチューブはもちろん、ラジエター内部やフィッティングには工場出荷時に付着した不純物、いわゆるゴミがついている。これらを放置したまま使い続けると、水流の妨げになり故障の原因にもなる。精製水を抜き取ると一緒に出てくるので、動作テストの後はしっかりと水抜きをしておこう。
ちなみに「Core P3」の水抜きは、マザーボードなどハードウェアがあるほうではなく、ラジエター上部のフィッティングを外して行う。途中リザーバーに貯まった精製水は、ポンプを動作させラジエター側に移動させ、さらに水抜きを続ける。3分程度で終わるはずだ。
あらかじめタオルで養生したラジエター周り。上部のフィッティングを外して水抜きを行う。「Core P3」の場合は軽いので、手に持って傾けてやるといいだろう | |
抜いた精製水と一緒に出てきた不純物。ハードチューブ加工時の削りカスはもちろん、鉄屑のようなものも確認できた |
精製水の水抜きが終われば、作業も佳境を迎える。次はクーラント液の注入だ。使用するのは標準で付属するレッドカラーの「C1000 Red Opaque Coolant 1000ml」。リザーバーに貯まったらポンプを動かし循環、さらに繰り返し1,000mlを全て使い切るまで注入する。
入れ方は精製水のときと同様、リザーバー上部のフィッティングを外してロートを使って注入していく。コポコポと音を立ててレッドカラーのクーラント液がハードチューブを循環していく様子を眺めるのは楽しい瞬間 |