エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.526
2016.11.21 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
シャーシのフロントパネル部に、ラジエターを搭載してみよう。このスペースには120mm口径ファン3基または140mm口径ファン2基が搭載可能。つまり最大で360mmサイズのラジエターが固定できる。理論上、ラジエターは大型であるほど冷却能力が高くなるため、ここでは360mmサイズを用意し、装着を試みた。
360mmサイズラジエターはフロントパネル上下ほぼ全てを覆うため、ボトムカバーの天板の一部「Remove PSU Shroud Plate」を取り外す必要がある。また3.5インチHDDケージも共存は難しい。今回のテストには、厚さ35.5mmのラジエターと25mm厚120mm口径ファンを組み合わせている。3.5インチHDDケージを背面方向にずらしたところで、フロントパネルまでの距離は実測で約60mm。ラジエター+冷却ファンは60.5mm(35.5+25mm)になるだけに、取り外すしかない。
搭載するラジエターと冷却ファンの厚さによって、グラフィックスカードの有効スペースが変わる。物理的干渉を起こさないように構成を決めていく必要がある |
コンパクトサイズの「Define C」だけに、高冷却の代償にストレージ収納力が削られる点は致し方ない。どうしても3.5インチHDDケージが必要な場合は、240mmサイズラジエターを検討しよう。
内構造を変更せず手軽に水冷を導入するには、背面の搭載スペースを利用するのが最良の手段となるだろう。ここではFractal Designから発売中の「Kelvin T12」(型番:FD-WCU-KELVIN-T12-BK)を用意し、標準搭載されるリア120mm口径ファンを換装。固定を試みた。
Kelvin T12(型番:FD-WCU-KELVIN-T12-BK) 実勢価格税込12,000円(2016年11月現在) |
「Kelvin T12」のラジエターは46mm厚で、25mm厚120mm口径ファンをデュアル搭載させる。つまり一般的なオールインワン水冷ユニットよりも大型で、筐体内部での占有面積も広い。「Define C」への搭載はできたものの、高さ40mmのポンプ一体型ウォーターブロックとはかなり接近する。運用に問題ないが、搭載はポンプ一体型ウォーターブロック→ラジエター&冷却ファンの順に作業する。
CPUクーラーメンテナンスホールをチェックすると、開口部のサイズは実測で縦約145mm、幅約175mmだった。多少大きめのバックプレートでもマザーボードトレイに干渉せずに露出できるだろう |
今回のレビューではフロントとリア、それぞれラジエターの搭載を試みたため、トップパネル部には冷却ファンを搭載してみた。おさらいすると、トップパネル部には120mmまたは140mm口径ファンが搭載可能。標準装備される「ModuVent™」を取り外し、冷却ファンをパネル上部よりネジ留めするだけで、エアフローの改善または強化ができる。空冷ユースにとっても、CPUソケット周りの気になる熱こもりを解消する、有効かつ容易なアップグレードだ。
「ModuVent™」を取り外し、手持ちの120mm口径ファン2基を増設。緩やかな回転数の静音ファンでも、排気能力の向上に威力を発揮してくれるはずだ。なお搭載後は付属の「Optional magnetic dust filter」を装着しておこう |
最後にボトム部の増設スペースにも、冷却ファンの増設を試みた。前述通り、3.5インチHDDケージを取り外すことで初めて生まれるレアなスペース。外気を取り入れて直線的なエアフローを作り出す、またはボトムへ排出させる事ができるワケだが、3.5インチHDDケージとのトレードオフとして、どれだけの需要があるのだろうか。
3.5インチHDDケージを取り外し、120mm口径ファンを増設。エアフローの通路を確保すべく、ボトムカバーの天板の一部「Remove PSU Shroud Plate」も取り払った状態。ちなみにネジ留めはボトム面から行い、冷却ファン自体はスライド式防塵フィルターのカバー範囲内に収まる |