エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.527
2016.11.28 更新
文:GDM編集部 池西 樹
完全無音PCの構築が完了したところで、STREACOM「DB4」の冷却性能をベンチマークテストにより検証しよう。使用するアプリは「CINEBENCH R15」“マルチコア”と、「OCCT 4.4.2」“CPU:OCCT”(テスト時間30分間)の2種。またCPUの温度はハードウェアモニター「HW Monitor 1.30」の「Package」の数値を採用した。
Celeron G3900T搭載時の温度(室温23.1℃) | |
Celeron G3900Tの「OCCT 4.4.2」実行中のサーモグラフィ結果 |
Celeron G3900Tではアイドル時が41.5℃、最も負荷の高い「OCCT 4.4.2」でも最高55.5℃までしか上がらず、冷却性能にはまだ余裕がある状態。TDP 35Wの“T”シリーズであれば、より上位モデルでも十分冷やし切ることができる。またサーモグラフィの画像は「Heat Sink Mount」搭載部が最も温度が高く、周辺部に行くに従い徐々に温度が低下。CPUの熱をヒートパイプがアルミニウムパネルに効率的に移動し、拡散されている様子が確認できる。
Core i7-6700搭載時の温度(室温23.1℃) | |
Core i7-6700「OCCT 4.4.2」実行中のサーモグラフィ結果 |
続いてTDP 65WのSkylakeでは最上位となるCore i7-6700の結果を確認していこう。アイドル時は45.5℃で問題なし。また「CINEBENCH R15」では最高77.5℃まで温度が上昇したが、無事完走することができた。しかし「OCCT 4.4.2」では、テスト約10分経過時点で95℃を超えオーバーヒートによりテストが停止。何度か組み直して測定を繰り返したが状況は変わらず、冷却が追いついていない。高負荷状態が長時間続く処理を行う場合は、TDP 65WクラスのCPUは避けた方が良さそうだ。
今回はSTREACOMのファンレスCube型ケース「DB4」の検証を行った。さすがにTDP 65WのハイエンドCPUを組み合わせると”実用的”とは言えないが、TDP 35Wなら十分な冷却性能を発揮。近頃では、このクラスでも高性能なCPUが用意されていることから、高負荷の掛かる処理を行わない限りは、パフォーマンス面に不満が出ることはないだろう。さらにストレージをSSDで固めてやれば、駆動部ゼロの完全無音PCを構築することができる。
自作PCパーツの省電力・静音化が進んだことで、以前ほどファンレス「無音PC」は注目されなくなった。事実、筆者も窒息系ケースと低回転ファンを組み合わせた静音PCを使用しており、これ以上静音化の必要性を感じていなかった。しかし「DB4」で構築した完全無音PCと比較すると、これまで気にならなかったファンの音が耳に残り、明らかに違いがあることを再認識させられた。省電力かつ高速なCPUやSSDなど、以前とは違う環境が整ってきた今だからこそ、STREACOM「DB4」による完全無音PCに挑戦してみてほしい。