エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.534
2016.12.23 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
玄人志向「RD-RX480-E8GB/OC/DF」 実勢売価税込29,980円前後(2016年12月現在) 製品情報(玄人志向) |
さすが両雄の一角だけあって、ショップによっては大きな売り場面積が確保されているRadeonグラフィックス。もっとも昨今は、ライバルに対してやや劣勢な戦いが続いている |
昨今のグラフィックス市場において、ことメインストリーム向けGPUの分野では、しばらくRadeon陣営が苦戦を強いられていると言っていい。ショップにおける売り場面積こそ面目を保っているものの、ミドルからハイエンドまで小気味よいヒットを飛ばすライバルの影で、セールスの面でも押され気味になっている。往時の勢いを失ったかにみえる現状に、どことなく肩身の狭い思いをしていたファンもいるだろう。
ちなみにそれほど自作歴の長くない筆者だが、思い起こせば最初にショップスタッフのススメで購入したグラフィックスカードは、当時のミドルレンジモデルであるRadeon X1600 Pro搭載カードだった。ひょっとしたらそのスタッフ自身がRadeon党だったのかもしれない。それをきっかけにすっかりRadeonに“帰依”した筆者だったが、いつしかアレやこれやを経て、緑陣営に浮気してしまうことになる。そんな事情から懺悔の意味もこめて、この機会にRadeonグラフィックスから魅力的な1枚を引っ張り出すことにしたという次第だ。
そこで、あらためてRadeonのラインナップをチェックしてみよう。昨年発売の「Radeon R9 Fury X」や「Radeon R9 Nano」など尖ったハイエンドモデルもあるが、ほとんどのユーザーにとって、価格的にも今年の6月にデビューしたアッパーミドルクラス「Radeon RX 480」搭載カードが最も有力な(そして競争力のある)選択肢になるだろう。解禁時には深夜販売に熱心なファンが多く駆けつけ、Radeonの底力を見せつけた。現行モデルの中でも堅調なセールスを続けている、鉄板のGPUと言える。もちろん近頃ムーブメントを起こしつつあるVR対応も万全だ。
Radeon RX 480の“やや深夜販売”には、熱心なファンが多く駆けつけた。当日は豪快な2枚買いユーザーにも遭遇、未だにRadeonシリーズでは堅調に売れているGPUだ |
さらにRadeonシリーズには、R9 290シリーズ以降で盛り込まれた再生支援機能「Fluid Motion Video」という他社製GPUにはない武器もアリ。通常24fpsで描画されるBlu-ray映像のコマ数を補完し、60fpsのなめらかさで堪能できるアニメ・映画マニア御用達の魅力的な機能だ。
装飾は控えめながら、冷却性能豊かなデュアルファンクーラーを搭載するRX 480グラフィックス、玄人志向「RD-RX480-E8GB/OC/DF」 |
すっかり前置きが長くなってしまった。今回のレビューで主役となるのは、数あるRadeon RX 480グラフィックスカードからチョイスした、玄人志向の「RD-RX480-E8GB/OC/DF」だ。デュアルファン仕様の高冷却クーラーを搭載したオリジナルモデルながら、価格的にも手を伸ばしやすく、コストパフォーマンスに優れた1枚と言える。
動作クロックはコアブーストクロック1,279MHz(1,266MHz)の“プチオーバークロック”仕様で、メモリクロック8,000MHz、メモリバス幅256bit、ビデオメモリはGDDR5 8GBを実装している。
玄人志向のグラフィックスカードは、どのシリーズでもパッケージの見た目は同じ。フロントに貼られたシールで製品を見分けよう。付属品もドライバディスクのみ、余分なものが一切ない仕様は同ブランドの特色といえる |
バスインターフェイスは言わずもがなPCI-Express3.0(x16)、出力インターフェイスはDisplayPort×3、DVI-D×1、HDMI×1の5系統を備える。補助電源コネクタは、リファレンス同様に6pin×1仕様だ。
ちなみにこれは後ほど動作させてから判明したことだが、搭載するクーラーは低負荷時に回転を停止するセミファンレス仕様だった。イマドキのグラフィックスカードにとって標準装備になりつつある機能だけに、カジュアルユーザーにとっては嬉しい隠し要素と言える。