エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.539
2017.01.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
「570X RGB」の外装周りをチェックしたところで、内部構造を詳しく見ていこう。強化ガラスが装着されているため、既に内部の様子はチラチラと眺めていたが、2016年からの急速に採用例が増えたフロントパネル裏のシャドウベイ廃止や、ボトムカバーの存在などが確認できる。組み込みに遮るものがなく、いかにも作業はしやすそうだ。
組み込みやメンテナンス作業のしやすさは、良いPCケースの条件のひとつ。モデル選定における重要なチェックポイントだ |
ボトムカバーと言えば、今やミドルタワーPCケースの定番装備。電源ユニットをすっぽり覆い隠し、厄介なケーブルを隠す役割を果たしてくれる。「570X RGB」のカバーはスチール製で、天板には通気孔を装備。左サイドパネル面にはCORSAIRのロゴがあしらわれている。
スチール製ボトムカバーは、トンネルのように入り口と出口は開放状態。取り外しは想定されておらず、リベットで固定されていた。なおCORSAIRのロゴにはちょっとした仕掛けが用意されている。後ほど解説しよう |
内部構造のはじめに、エアフローレイアウトについてチェックしてみよう。「570X RGB」は、4面を強化ガラスで塞がれているため、内部エアフローについては決して得意ではないというイメージを持つだろう。実際には要所に風の通路が設けられており、外観から受ける印象とはやや異なるようだ。そのひとつに「Direct Airflow Path」と呼ぶ独自のエアフローレイアウトがアピールされている。
「570X RGB」が提唱するエアフローレイアウト「Direct Airflow Path」 |
これは、下段のボトムカバー内部に電源ユニットを設置する事で、エアフローの障害を排除。CPUやグラフィックスカードといった熱源に、フロント吸気ファンがもたらす外気をダイレクトにあてる事ができるという考え方だ。おまけに冷却ファンの回転数を抑え、静音化にも貢献。外観デザインだけにとらわれず、冷却にもこだわるあたりは、CORSAIRの隙の無さだ。続いて、各ポイント別の冷却ファンレイアウトを解説しよう。
フロントパネルのシャーシ部には、120mm口径ファンが3基標準で装備されている。これが4個の高輝度LEDイルミネーションを搭載したカタログモデル「SP120 RGB」だ。前方寄りマザーボードトレイ背面に搭載される「LEDハブ」に3基分のコネクタが接続され、専用「LEDコントローラー」により、イルミネーションの変化速度調節や、LEDカラーの変更、さらにLEDライティングモードの変更に対応する。なおラジエターの搭載も可能で、360 / 280 / 240 / 120mmの各サイズをサポートしている。
単に発光するだけのLEDファンではない、高機能な120mm口径ファン「SP120 RGB」が贅沢にも標準で装備。フロントパネル上部に「LIGHTING CONTROL」スイッチがあり、自在にLEDの変更ができる | |
CORSAIRが提唱する「Direct Airflow Path」がよく分かるアングル。外気を取り込んだ120mm口径ファン「SP120 RGB」の風は、トップおよびリアから排出される |
強化ガラスで閉じられたトップパネル裏にも、120mmまたは140mm口径ファンが最大2基まで増設ができる。素材の性格から、通気孔は設けられていないが、強化ガラス製トップパネルの左右には空きスペースが用意され、風の通り道は確保できている。なおラジエターについては、240mmサイズまでのサポートが明記されていた。
シャーシトップ面に設けられた冷却ファン増設スペース。ネジ穴はスリットタイプで、前後方向に微調節が可能 | |
ラジエターは最大240mmサイズまで搭載できる |
リアにも120mm口径ファン1基が増設できる。フロントファンからの静圧により、自然排気も可能だが、せっかく「Direct Airflow Path」を提唱するだけに、ここは冷却ファンを増設し、強制的に排気するようなエアフローシステムを構築しておきたい。なおこのスペースには最もオーソドックスなオールインワン水冷ユニットで採用される、120mmサイズラジエターが搭載できる。
リアの増設ファンスペース。ハニカム状の通気孔に、ネジ固定は流行のスリットタイプを採用。ストロークは実測約35mmで、特にラジエター固定位置の微調整に役立つ |