エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.550
2017.03.13 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
フルHDクラスまでなら、最新ゲームを快適にプレイできる性能を発揮した「GeForce GTX 1050 Ti KalmX」。ここからは最も気になるパッシブクーラーの実力を検証していこう。ベンチマークテストには「Fire Strike Stress Test」を使い、高負荷時はテスト実行中の最大値、アイドル時は起動直後10分間放置した際の数値をそれぞれ採用している。
GPU温度計測(℃ / 室温18.9℃) | |
「Fire Strike Stress Test」実行時のサーモグラフィー結果 |
クロック、電圧とも低下するアイドル時は42℃前後で推移。高負荷時でも80℃を超えることはなく、ファンレスながら冷却性能は良好。またサーモグラフィ画像からは、GPUや電源回路から発生した熱がヒートシンク全体にまんべんなく拡散している様子が見て取れる。
ベンチマークテストのラストは消費電力を確認しておこう。テストには温度チェックと同じ「Fire Strike Stress Test」を使用。実行中の最大値を高負荷時、10分間放置した際の数値をアイドル時に設定。“Wattup Pro”を使用して計測している。
消費電力(W) |
TDP91WのCore i7-7700Kとの組み合わせにも関わらず、アイドル時は30W前半、高負荷中の最高値も120W前半までしか上がらず省電力性も優秀。Kaby Lakeプラットフォームであれば、300Wクラスの電源ユニットを用意してやれば無理なく運用することができる。
近頃は省電力・静音化が進み、以前に比べるとグラフィックスカードの騒音に悩まされることは少なくなっている。しかしCPUに比べるとまだまだ消費電力が大きく、完全無音動作を謳う製品は未だ少ないのが現状だ。さらにファンレスモデルのほとんどは、ディスプレイ出力の拡張をメインにしたローエンドが中心。最新のオンボードグラフィックスと比較すると、同等かそれ以下の性能しか持たないものばかりだ。
性能・省電力性・冷却性能とも問題なし。Palit「GeForce GTX 1050 Ti KalmX」を使えば完全無音のゲーミングPCも夢ではない |
そんな中、NVIDIA Pascal初のファンレスグラフィックスカードとして登場したPalit「GeForce GTX 1050 Ti KalmX」。スペックはリファレンスと同等で、「GPU Boost 3.0」によりコアクロックは最高1,733MHzを記録。フルHD解像度までなら高画質設定でも十分なパフォーマンスを発揮し、ファンレスモデルでは間違いなく現行最高峰の性能を備えている。
もちろんオリジナルパッシブクーラーの冷却性能も優秀。テスト中に熱暴走やサーマルスロットリングと思われる症状は一切発生しなかった。またGeForce GTX 1050 Tiらしい省電力性も継承しており、正直ミドルレンジクラスのグラフィックスカードとして大きな欠点は見当たらない。やや高さがあるため、コンパクトケースで使用する際にはクリアランスに注意が必要だが、それさえクリアできれば、万人におすすめできる製品だ。