エルミタ的一点突破 Vol.44
2017.04.08 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
3月3日0:00に販売が解禁された、AMD Zenアーキテクチャの新型CPU Ryzen。解禁当日、深夜販売の模様をお届けしたが、平日の深夜にもかかわらず、予想以上の大盛況。長く続いたAMD冬の時代と、Intelの一強時代がようやく終わり、自作PC業界に大きな変化をもたらす1日になった。
久しぶりに”深夜販売らしい”賑わいを見せた秋葉原。多くの人を集めたのは、IntelでもNVIDIAでもなくAMDだった |
そしてもうひとつ変化したのは、Ryzen世代から採用されるSocket AM4プラットフォームだ。新たに設計された1,331ピンの新プロセッサ・ソケットは、938ピンのSocket AM3とは互換性がない。さらに違いはピン数だけでなく、CPUクーラーを搭載する台座とバックプレートのネジ穴ピッチが変更された。
AMDは長きにわたり、このピッチに変更を加えなかった。AM2(+)/AM3(+)、そしてFM1/2(+)はすべて共通であり、CPUクーラーは新ソケットが出ると、対応ソケット名の表記を書き加えるだけで済む。しかしSocket AM4はそうも行かない。
ASUS「ROG CROSSHAIR VI HERO」は、AM3(系)と新AM4いずれにも対応すべく、ネジ穴ピッチを2パターン設けている。両者の違いがよく分かる |
穴ピッチの変更といえば、これまでIntelのお家芸だったワケだが、Socket AM4世代でAMDもこれまでの慣例を破り、ひとつの話題を提供してくれたことになる。しばらく静かな時代が続いたAMDだけに、この程度は許容すべきだろう。ただしCPUクーラーメーカーにとっては、余計な仕事が増えた事は確かだ。
対応はメーカーにより異なり、AM4用リテンションを「無償配布」したり、後日有償で販売されるケースもあるようだ。もっとも互換性がないのは台座とバックプレートのネジ穴ピッチであり、2箇所を引っ掛けるクリップ式を採用するCPUクーラーは、そのまま使用できる。
Socket AM4で変更されたのは、バックプレートの固定用ネジ穴位置のみ。従来通り2点留めクリップ式を採用するCPUクーラーは互換性が維持されている |