エルミタ的一点突破 Vol.44
2017.04.08 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ポイント別温度をチェックしておこう。こちらはファンを標準回転した状態で、ストレステスト30分実行後に計測をしている。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果 | |
高負荷状態30分経過時のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度を確認すると、CPUに最も近い受熱ベース部の34.4℃が最高。ヒートシンク本体の温度は下段が29℃前後、中段が26.0℃前後、上段が24℃前後、天板は23.5℃前後で、熱源から離れるに従って綺麗に温度が下がっている。またサーモグラフィの画像を確認すると、ヒートパイプ周辺の温度がやや高く、CPUの熱がヒートパイプを通して効率よく移動している様子が確認できた。
“想像以上のパフォーマンス”とは、Ryzenではなく、今回検証を行った「Contac Silent 12」のことだ。
水冷関連が強いためか、超ハイエンドな空冷クーラーとは少し距離を置く近頃のThermaltakeにあって、「Contac Silent 12」はミドルレンジのやや下に位置するオーソドックスなCPUクーラー。本音を言えば、想定売価税抜2,000円台後半というだけで、さほど期待はしていなかった。
しかし実際に冷却テストを行ってみると、標準状態の高負荷時でもCPU温度は55℃に留められている。これはなかなかのモノではないだろうか。減速ケーブル「LNC」(Low-Noise Cable)を接続した状態でも60℃前半で、静音性を保ちながらの冷却性能も十分だろう。
冷却ファンが発光するわけでもない、かなり”フツウ”なCPUクーラーだが、ことRyzen 7 1800Xを冷やすにはまったく問題がない事が分かった。つまり下位モデルも言うにおよばず、現状すべてのRyzenシリーズに対応してくれる。エントリークラスのCPUクーラーだが、意外な掘り出し物かもしれない。