エルミタ的「編集部で使ってみた」
2017.04.12 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
今回は「ST-M2PCE4X」をPCI-Express3.0(x8/x16形状)スロットに搭載して検証を実施した |
ここからは「CrystalDiskMark 5.2.1」を使い、注目の冷却性能をチェックしていこう。テストに使用したSSDはIntel「600p」シリーズの256GBモデル「SSDPEKKW256G7X1」で、温度と転送速度は「HWiNFO64」で測定。また比較対象となるヒートシンク非搭載時の結果は、測定環境が同じため長尾製作所「M.2ヒートシンク」のスコアを流用した。なおテスト環境の詳細は、以下の「テスト機材構成表」を参照頂きたい。
標準状態の「CrystalDiskMark 5.2.1」スコア | 「ST-M2PCIE4X」搭載時の「CrystalDiskMark 5.2.1」スコア |
標準状態の転送速度と温度の推移 | |
「ST-M2PCIE4X」搭載時の転送速度と温度の推移 |
標準状態ではアイドル時でも40℃前半まで温度が上昇するが、「ST-M2PCIE4X」搭載時は30℃前後で推移。負荷を掛けない状態でも、約10℃と比較的大きな差がついた。
さらにテストを開始すると、標準状態では70℃半ばまで一気に温度が上昇するが、「ST-M2PCIE4X」では上昇が緩やかになり、最高でも43℃で頭打ち。頻発していたサーマルスロットリングは完全に抑制され、ベンチマーク中に速度が落ち込むことは一度もなかった。
テスト実行中のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィを確認すると、ヒートシンクの温度はコントローラ部分がもっと高く、周辺に行くに従って低下。最高温度は表面が36.3℃、裏面が34.8℃で、周辺コンポーネントへの影響も最小限に抑えることができる。
PCI-Express変換カードタイプのM.2 SSD冷却システムでは、久しぶりの新作となる「ST-M2PCE4X」。変換基板とヒートシンクを組み合わせたシンプルな製品だが、アイドル時で約10℃、高負荷時は30℃以上温度が低下。NVMe M.2 SSDの熱を完全に冷却し、サーマルスロットリングによる速度低下を抑えることに成功。またこれだけ温度に違いがでれば、SSD自体の製品寿命や周辺コンポーネントへの影響も明らかに異なるはずだ。
この手の製品では最安クラスながら、優れた冷却性能を発揮する「ST-M2PCE4X」。ロープロファイルに対応するため、冷却に難があるスリムPCでも力を発揮する |
近頃では、より手軽な直付けタイプのヒートシンクが人気だが、冷却面では大型のヒートシンクが使え、熱源を分離できる変換カードタイプのほうが明らかに有利。価格も変換アダプタ込みで2,980円前後と、この手の製品としては安価なことから、NVMe M.2 SSDの発熱に困っているなら今すぐ導入をオススメする。必ずや期待通りの冷却性能を発揮してくれることだろう。