エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.559
2017.04.22 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
BCLKは「APU/PCIE Frequency」で設定可能。今回はCPU VoltageはUEFIの安全圏内(白文字表示)である1.44350Vで固定した |
外部クロックエンジン「Hyper BCLK Engine II」を搭載する「X370 Taichi」では、コア倍率とBCLK(ベースクロック)による細やかなチューニングが可能。そこで、今回はコア電圧を安全圏内とされる1.44350Vに固定し、どこまでクロックを引き上げることができるのかチェックしてみることにした。
「A-Tuning」ユーティリティを使えば、Windows上からもオーバークロック設定が可能 | |
37倍×110MHzの4.07GHzまではWindowsの起動、「CINEBENCH R15」とも問題なく動作 | Windowsの起動だけなら37.5倍×114MHzの4.27GHzまでクロックを引き上げることができた |
Windowsの起動だけなら37.5倍×114MHzの4.27GHzまでオーバークロックが可能。ただしこの状態では動作が不安定で、OSの起動中やファイル操作中にいきなり再起動することがあった。そこで安定して動作する設定を探ったところ、37倍×110MHzの4.07GHzなら「CINEBENCH R15」を完走することができた。
CINEBENCH R15(cb) |
また「CINEBENCH R15」のスコアを確認すると、シングルコア時が約5%、マルチコア時が約9%上昇。謹製のWindowsユーティリティ「A-Tuning」を使えば、コア倍率やベースクロックをリアルタイムに反映することができるため、重量級の処理を行うときのみクロックを引き上げることもできる。
続いて手動オーバークロックによって、どの程度消費電力が増加しているのか。さらに電源回路はどの程度発熱するのか確認していこう。
消費電力(W) |
まず消費電力を確認すると、コア電圧を1.44350Vまで引き上げているため、高負荷時は約70Wと大幅に消費電力が増加。このことからRyzen 7のオーバークロックでは、CPUの冷却とともに電源回路の品質が非常に重要になることがわかる。
サイドフロークーラー搭載時の電源回路のサーモグラフィ結果 | |
オールインワン水冷クーラー搭載時の電源回路のサーモグラフィ結果 |
続いて「OCCT 4.5.0」の高負荷テストを30分実行した際の電源回路の温度を確認したところ、空冷クーラー搭載時で最高70.3℃、オールインワン水冷クーラー搭載時でも最高74.3℃で頭打ち。オーバークロック時は90℃を超える製品もある中、16フェーズの高効率電源回路を搭載する「X370 Taichi」では、発熱がかなり低く抑えられている。
メインストリーム向けながら、用途を限定しない“オールラウンダー”を標榜するASRock「Taichi」シリーズ。第3弾となる「X370 Taichi」でもこのコンセプトはシッカリと受け継がれ、2基のM.2スロットやType-C対応のUSB3.1 Gen.2、デュアルバンド対応の無線LANなど最新インターフェイスを搭載。加えて、高音質オーディオ回路や、定評のあるIntel製ギガビットLAN、RGBカラーに対応するLEDイルミネーションなど、ゲーミング機能も充実。スタンダードな用途はもちろん、ハイエンドゲーミングPCのベースとしても十分な実力を備えている。
充実した機能と共に、高いオーバークロック耐性も魅力の「X370 Taichi」。全モデルでオーバークロックができるRyzenにはまさに最適な1枚だ |
またすべてのモデルがチューニングに対応するRyzen。「Hyper BCLK Engine II」により、本来は不可能な細かいクロック設定ができるのも重要なポイント。高品質なコンポーネントや、Socket AM4マザーボードでは最高峰の16フェーズ電源回路により耐性も高いことから、Ryzenシリーズで、オーバークロックに挑戦したい人には特にオススメできる1枚だ。