エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.560
2017.04.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
まず本題に入る前に、3月に販売が解禁されたNVIDIAのハイエンドGPU「GeForce GTX 1080 Ti」について、軽くおさらいしておこう。発表当初のフラッグシップTITAN X(現在はTITAN Xpがリリース済み)と同じ「GP102」コアを搭載するPascalアーキテクチャ採用のGPUで、シェーダプロセッサにあたるCUDAコアも同等の3,584基を内蔵。ベースクロック1,480MHz、ブーストクロック1,582MHzと、TITAN Xを上回るクロックで動作する。
GeForce GTX 1080はもちろん、高クロック動作によりTITAN Xをも上回るパフォーマンスを手に入れたハイエンドGPU「GeForce GTX 1080 Ti」。それでいて想定売価は699ドルとTITAN Xより安く、発表時は大いに話題になった |
その一方で、メモリバス幅は384bitから352bit、ビデオメモリはGDDR5X 12GBから11GBへと、それぞれTITAN Xから抑えられた。しかしこちらも動作クロックを11,000MHzに向上させることで、同等以上の帯域幅を確保。総合的なパフォーマンスで上位GPUのTITAN Xを上回り、GeForce GTX 1080との比較では35%の高速化を実現している。これはNVIDIAが「最新ゲームを5K解像度で楽しむことができる」と謳う、ハイレベルな水準だ。なお、消費電力はGeForce GTX 1080から70W増加、補助電源コネクタは標準でTITAN X同等の8pin+6pinに増強されている。
発売前から多数の問い合わせが舞い込んだという、GeForce GTX 1080 Tiオリジナルモデルの注目株。歴代評価の高い独自クーラー「TWIN FROZR」の最新版を搭載している |
そのGeForce GTX 1080 Tiを搭載する、MSIオリジナルのカスタムモデルとして発売されたのが「GeForce GTX 1080 Ti GAMING X 11G」だ。店頭では、発売前の予約段階から多数の問い合わせがあったという注目モデル。静音・高冷却で定評のある、デュアルファンクーラーの最新版「TWIN FROZR VI」がトレードマークだ。
特徴的なフェイスこそ「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」と変わらないように見えるものの、GeForce GTX 1080 Ti向けに冷却能力を強化。2.5スロット厚の重厚なクーラーに生まれ変わった。冷却ファンは、従来から風圧を22%、風量を13%向上させた「トルクスファン2.0」をデュアル搭載。さらに大型の銅製ベースプレートや最大φ8mmの極太ヒートパイプを組み合わせ、冷却効率を最大化させている。また、GPU温度が60度未満の際にファンを停止するセミファンレス機能「Zero Frozr」にも対応する。
コーポレートカラーのレッドを纏う「GeForce GTX 1080 Ti GAMING X 11G」のパッケージ。高負荷動作でも静音を保つ、「TWIN FROZR VI」のアドバンテージが記載されている |
そしてスペックは、コアベースクロック最大1,569MHz、コアブーストクロック最大1,683MHz、メモリクロック最大11,124MHzにチューンされたオーバークロック仕様。オリジナルのユーティリティ「GAMING APP」を使用することで、動作クロックをワンタッチで切り替えることができる。なお、メモリバス幅は352bitで、GDDR5X 11GBのビデオメモリを実装している。
また、「Hi-C CAP」や「Solid CAP」、「スーパーフェライトコアチョーク」といったコンポーネントには MIL-STD-810G認証をクリアした「ミリタリークラス4コンポーネント」対応の高品質部材を採用し、耐久性も健在だ。10フェーズ構成の電源回路や、リファレンス以上の大電流を供給できる8pin×2の補助電源と相まって、高負荷時の安定性を支えている。