エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.561
2017.04.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードは、MSI「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」が搭載されている。ご存じ「Twin Frozr VI」が搭載された2スロット占有デザインで、カード長は約279mmだ。「Core P1 TG」の拡張カード有効スペースは公称280mmまで。つまりほぼ最大限のスペースを使った搭載イメージという事になる。
水平マウントによる、真正面から見た限りでは、シャーシ右端まではまだまだ余裕がある。ただしこれを超えると、リザーバータンクの設置空間を占有することになり、共存が難しい。使用しなければ問題はないものの、本格的なDIY水冷を構築するなら、リザーバータンクの設置場所も確保する必要がある。
右手の空間にリザーバータンクを設置しなければ、オープンフレーム型PCケースだけに、実際にはどんなに長いグラフィックスカードでも搭載は可能。つまり共存させる必要の有無がポイントになる |
電源ユニットには、以前詳細検証を行った「TOUGHPOWER GRAND RGB GOLD」シリーズの850Wモデル「PS-TPG-0850FPCGJP-R」がマウントされていた。公称180mmまでの電源ユニットが搭載可能なところ、奥行き160mmの搭載サンプルは、周辺に干渉する事無く、きれいに収めるられていた。ちなみに長さの制限が設けられている理由は、グラフィックスカード同様、右手にリザーバータンクの設置空間があるため。これを気にしなければ、理論上どんなに長い電源ユニットを使ってもいい。
グラフィックスカード水平マウント用のブラケットには、電源ユニット搭載の吸気ファン用の通気孔が設けられていた。256色発光に対応する「Riing 14」ファンを搭載するだけに、この開口部から発光を楽しむ事ができる |
リザーバータンクおよびポンプの設置には、右下のポンプ設置用トレイを利用する。なおオールインワン型水冷ユニットのように、リザーバータンクを使わない完成版サンプルには、「Thermaltake Water 3.0 Riing RGB 240」のカラーを制御するユニット「Smart Fan Controller」がネジ留めされていた。ブラケットの有効な活用法として、いいヒントになるだろう。
3つのボタンによりラジエター搭載ファンのLEDイルミネーションが制御できる「Smart Fan Controller」。ポンプ設置用トレイのネジ穴を使い、まさに”スマートに固定”されていた |
最後にシャーシ背面のカバーを外し、「Core P1 TG」の楽屋裏を見ておこう。完成版では3.5インチHDD用トレイが外された状態で、ストレージには2.5インチSSDが右端の専用ブラケットに装備されている。ちなみに完成版は完全に動く状態で、配線も正確に行われていた。限りなくフル装備に近い状態で、比較的無造作に組み込まれているものの、ケーブル類は無理なく収められていた。
裏配線スペースは最も空間のある場所で約45mmほど。一般的なミドルタワーPCよりも空間には余裕がある |
一般的なPCケースと違い、オープンフレーム型PCケースの「Core P1 TG」は、外装周りで特筆すべき仕掛けもデザインも用意されていない。シャーシとフットスタンド、4本の支柱と5mm厚強化ガラスのみで構成され、実にシンプルな筐体だ。しかし通常内部に隠れる構成パーツ類が露出することで、従来型PCケースでは味わう事ができない、見て楽しいPCが完成する。
Thermaltakeのオープンフレーム型PCケースとしては、初のMini-ITX対応モデルだが、既存の「Core P3」「Core P5」に引けを取らず、小さいことで”自作する楽しさが減る”といった事はない。むしろATX版よりも凝縮された感が強く、無駄な空間がないだけにより精密なものに感じられる。これこそが、省スペースPC愛好家が口を揃えていう「敢えて小型を選択する醍醐味」であり、オープンフレーム型PCケースでもそれを十分に味わえるあたり、「Core P1 TG」は完成度が高く、明確なコンセプトの元に設計された製品と言えるだろう。
ちなみに「3DMakers Site」なるものをご存じだろうか。Thermaltakeのオープンフレーム型PCケースを使ったMOD作品の紹介をはじめ、「Core P3」「Core P5」向けの無料3Dデータを公開。アイデア溢れた追加ブラケットやアクセサリーを3Dプリンタで作る事ができる。「Core P1 TG」で流用できるパーツもあり、今後専用パーツが追加されるかもしれない。世界中のThermaltakeのオープンフレーム型PCケースユーザーと情報を共有し、大いにカスタマイズを楽しもう。