エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.565
2017.05.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
AMDの新型CPU Ryzenがすこぶる好調だ。3月3日の解禁日には、Ryzen 7 1800X、Ryzen 7 1700X、そしてRyzen 7 1700の3種類が登場。秋葉原のPCパーツショップでは、ファーストロットが瞬く間に売り切れてしまった。供給量の違いはあれど、IntelのCPUでもこれほどのインパクトを残した新製品は、近年記憶にない。
この勢いはRyzenだけに留まらず、対応マザーボードの売れ行きにも大きく影響。店頭からは人気モデルから在庫切れとなり、需要と供給のバランスが崩れる状況が続いた |
またプラットフォームはSocket AM4へと進化。前世代との互換性が無くなり、必然的にマザーボードも購入することになる。秋葉原のPCパーツショップによると、Ryzenの登場を機に「久し振りにPCを新調してみよう」という気運が確実に上昇していると言う。長くIntel一強時代が続いたワケだが、Ryzenは自作PC業界にとって、間違い無く起爆剤となった。
この流れに続けとばかりに、周辺パーツも元気がいい。中でもSocket AM4対応マザーボードと共に必要なアイテムとして、CPUクーラーに注目が集まった。Socket AM4はバックプレートを固定するネジ穴のピッチが変更され、Socket AM3(+)まで長く共通だったバックプレートを使ったネジ留め式CPUクーラーとの互換性が、ついに途切れてしまう。
バックプレート固定用ネジ穴は、Socket AM4のよりピッチが若干変更された |
それでも2点クリップ式の場合、そのまま固定する事ができるため、市場には「対応品と非対応品」が混在。後者向けに各メーカーからは対応リテンションが配布されたり、オプションで販売することで対応。これもRyzenデビューのちょっとしたトピックになった。
前置きが長くなったが、今回は好調なRyzenに対応するオールインワン型水冷ユニット、CORSAIR「H110i」と「H60」の2製品を検証する。
これまでエルミタでは、CORSAIRブランドのオールインワン型水冷ユニットを数多く扱ってきた。自作市場に水冷ユニットを根付かせた功労者であるCORSAIRは、常にモデルを進化させ、記憶が薄れるほど多くの製品を市場に投入。「H110i」「H60」もその進化の過程に生まれた製品で、いずれも最新モデルではない。ただ件の2点クリップ式が採用されていることから、別途パーツを用意する必要なく、Socket AM4に対応。バックプレートを用いたネジ留め式が多い、オールインワン型水冷ユニットの中では、実に都合のいいモデルという事になる。
自作派からの信頼も厚く、ラインアップも充実しているCORSAIRからは、多くのオールインワン型水冷ユニットがリリースされている。そこで検証を始める前に、Socket AM4への対応状況を確認しておきたい。
標準対応モデル
「AM4-AMD Retention Bracket Kit」で対応するモデル
このように、CORSAIR「Hydro」シリーズの中でも、バックプレートを用いて固定するモデルについては、別途「AM4-AMD Retention Bracket Kit」なるオプションパーツを用意する必要がある。ちなみにリンクスインターナショナルが運営するリンクスアウトレットでは、保守部材として無償提供が行われている。購入証明書(レシート等)と「リンクスインターナショナル保証シール」を提示すれば、送料負担のみで「AM4-AMD Retention Bracket Kit」が入手できるというサポートプログラムだ。
グローバルサイトではいち早く掲載されたSocket AM4対応の「AM4-AMD Retention Bracket Kit」。ただいまリンクスアウトレットで入手が可能 |