エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.565
2017.05.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
続いて、280mmの大型ラジエターを搭載するCORSAIR「H110i」の検証に移ることにしよう。「H110i」では、ファンの回転数を専用ユーティリティ「CORSAIR Link」で制御するが、今回はCPUの温度に余裕があったため静音重視の「Quiet」プロファイルを選択している。
「H110i」では、冷却ファンを水冷ヘッドから伸びるコネクタに接続するため、ファンの回転数は専用ユーティリティ「CORSAIR Link」で取得 | |
「CORSAIR Link」を使えば、ファンの回転数の他、ウォーターブロックに内蔵されたLEDカラーや発光パターン(「固定」「2色ループ」「4色ループ」「温度連動」)を設定できる |
CPU温度(室内温度20.1℃) |
アイドル時の冷却性能は完全に飽和しており、クロック設定に関係なく30℃で安定。また高負荷時の温度は定格が44℃、4.0GHz駆動時が53℃で頭打ち。「H60」と比較するといずれも10℃以上温度が低下している。さらに瞬間的に温度が跳ね上がるスパイクもなくなり、緩やかに上昇したあとは安定して推移するのも特徴だ。
冷却ファン回転数 | |
騒音値(暗騒音32.9dBA) |
アイドル時はいずれも約1,000rpm前後で推移。高負荷時も定格で約1,100rpm、4.0GHzでも約1,200rpmまでしか上がらずまだまだ余力は十分。さらに電圧を掛けたオーバークロックでも十分耐えられる冷却性能を備えている。
また騒音値を確認するとアイドル時は35.2dBAで、シングルファンの「H60」よりやや大きい数値。一方、高負荷時はいずれも約37dBA。特に4.0GHz駆動時は回転数が1,400rpmまで上がる「H60」より騒音が小さく、Ryzen 7シリーズでオーバークロックをしながら静音性にもこだわりたいなら「H110i」は魅力的な選択肢となる。
いま自作PC市場で最も人気のCPUである、AMD Ryzenの熱対策に着目。今回はCORSAIRのオールインワン型水冷ユニット2機種を用意した。検証の結果は想像通り、大型ラジエターを備えた「H110i」の冷却能力は圧倒的に高いことが分かった。十分な能力を備えた「H60」と比較しても、騒音値(動作音)を同等に保ちながら、定格動作の高負荷時で約11℃の差が出ている。Ryzen 7 1800Xを完全に冷却するなら、断然「H110i」がオススメだ。
一方で「H60」は一見、冷却能力が高い空冷CPUクーラー並の検証結果ながら、4.0GHzへオーバークロックした状態で、突如その潜在能力を発揮する。通常は必要レベルの冷却を行いつつ、いざという時に仕事をするタイプと言ったところか。
AMD Socket AM4を標準でサポートする「H60」「H110i」。長らくIntelプロセッサが主な熱源であったが、今後は活躍の場を広げ、さらにユーザーを増やす事になるだろう。