エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.566
2017.05.12 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi
テストセッションの最後は、ベンチマーク実行中の消費電力を確認していこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、「3DMark」「Unigine Heaven DX11 Benchmark」「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」はそれぞれのベンチマーク実行中で最も高い値を記載した。
消費電力(W) |
Core i5-7600とGeForce GTX 1060搭載グラフィックスカードの組み合わせだけに、アイドル時は31Wと低い。グラフィックスカードへの負荷が上がる「3DMark」では177W、「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」時では173Wと、それなりに上昇するが、いずれも気になるレベルではない。
標準搭載される電源ユニット、CWT「GPK700S」(700W)は、購入後のストレージ系デバイスの追加はもちろん、GeForce GTX 1080 Tiクラスのハイエンドグラフィックスカード環境へのアップグレードにも十分対応してくれるだろう。
「Storm Metaphor H270 LTD」で象徴的なのは、採用PCケースの「U4」の存在だろう。運営母体であるアイティーシーの手により供給されるJONSBOブランドのPCケースは、アルミニウムの質感を生かしたデザインが特徴。過剰な装飾を排除したスタイルは、自作PC市場でも多くの支持者がいる。シンプルさが最大の個性である「U4」を採用したオリジナルPCは、供給元と密接な関係にあるStormの強みであり、このモデルを選択する大きな理由になり得るだろう。
一方でベースとなる基本構成は、飛び抜けたハイエンド志向で目立とうというワケではなく、常用を意識した”ほどよい”スペックにまとめられている。しかしその”ほどよさ”の中を詳しく見ると、CPUの冷却にはオールインワン型水冷ユニットを標準で備える他、グラフィックスカードにはInnoVISIONブランドのGeForce GTX 1060ショートサイズ、ストレージにはSamsung「SSD 750 EVO」シリーズを使うなど、Stormのこだわりを随所に感じる。
価格だけを重視すれば、もっと安価な完成型PCを探すことは容易だ。しかしせっかくPCを新調するなら、実用プラスアルファの優越感も欲しい。用途が明確ならば、あと少しの予算を捻出し、カスタマイズを楽しんでもいいだろう。税込12万円を切る「Storm Metaphor H270 LTD」は、「デザイン・実用性・カスタマイズの楽しみ」を備えた、ユーザーを選ばない秀作ベースPCとして、”ほどよい”完成度が魅力だ。