エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.571
2017.05.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に、「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使いシーケンシャルアクセスの最高性能を確認していこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
読込は最高2,950MB/sec、書込は2,300MB/secで、いずれも公称値を大きく上回るスコア。特に読込は3,000MB/secにあと一歩まで迫り、現行のNVMe SSDの中では最高峰の実力を備えている。さらに512KB以降はほとんどスコアにブレがなく、全般を通して安定した転送が期待できる。
検証ではサーマルスロットリングと思われる症状もなく安定したパフォーマンスを発揮した「Z280 M.2 PCIe SSD」。最後にテスト実行中の温度を確認しておこう。アイドル時は10分間放置した際の温度を、高負荷時は「CrystalDiskMark 5.2.1」実行中の最高温度を「CrystalDiskInfo 7.0.5」で計測した。
「CrystalDiskMark 5.2.1」実行時のサーモグラフィ結果 |
アイドル時でも55℃前後、高負荷時は84℃まで上昇。コントローラのしきい値が高めに設定されているため、サーマルスロットリングこそ発生していないものの、搭載スペースに余裕があるデスクトップPCなら放熱対策を強くオススメする。
今回はApacerブランド初のコンシューマ向けNVMe SSD「Z280 M.2 PCIe SSD」を検証してきた。ベンチマークテストでは、シーケンシャルアクセス約3.0GB/sec、ランダムアクセス約20万IOPSを計測し、高速な製品が揃うNVMe SSDのなかでもトップクラスの性能。またベンチマーク全般を通してスコアのブレも少なく、安定性にも不安はない。やや温度が高めな点は気になるものの、近頃ではM.2 SSD専用の冷却アイテムも充実。デスクトップPCで利用する場合には大きな問題にならないだろう。
メモリ製品を得意とするApacerらしい完成度の高い「Z280 M.2 PCIe SSD」。今後はぜひ安定した流通に期待したい |
さらに品質に定評のある東芝製MLC NANDとオーバープロビジョニング領域を組み合わせることで、耐久性も十分。それでいてNVMe SSDとしては安価な価格設定で販売されていたことから、人気を博したのも頷ける。それだけに入手困難な現在の状況は残念だが、深刻なNAND不足という致し方ない理由もあり、今後はぜひ安定した供給に期待したい。