エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.575
2017.06.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ベンチマークテストが一段落したところで、次はテスト中における「RX580 IceQX2 OC 8GB」の冷却パフォーマンスをチェックしてみよう。「Fire Strike“Ultra”」をカスタム項目でループさせ、30分動作させた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最小値をアイドル時として、「GPU-Z」でGPU温度とファン回転数を計測した。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
セミファンレス対応の「IceQ X2」クーラーは、当然ながら低負荷のアイドル時には回転しない。それでも温度は34℃と優秀で、パッシブクーリングの状態でも冷却に不安はなさそうだ。また、高負荷時には74℃まで温度が上昇しているものの、ファン回転数は62%の2,233rpmに収まっていた。許容範囲で可能な限り騒音を抑える、スマートな「IceQ X2」クーラーの挙動が見て取れる。
最後は、「RX580 IceQX2 OC 8GB」を動作させた際の消費電力を振り返り、テストを締めくくろう。上記同様に「Fire Strike“Ultra”」をカスタム項目でループさせ、30分動作させた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最小値をアイドル時に設定。ワットチェッカーを使用して計測を行った。
消費電力計測(W) |
消費電力は最大で266W。ミドルレンジクラスのマシンなら600W前後の電源ユニットをチョイスするのがスタンダードなことから、十分に許容範囲内といえる。なお、Radeon RX 580はRadeon RX 480から消費電力が増加したのがネックだが、乗り換え元として想定されているRadeon R9 380Xよりはやや控えめ。現有環境と比較して、デメリットになり得るかどうかを判断したい。
Radeon RX 580は実質的なRadeon RX 480のクロックアップ版のため、技術的なインパクトや劇的な性能向上という点では、確かに物足りなさがある。しかしAMDが提唱するように、2世代前(もしくはそれ以上)からのアップグレードを考えるなら、十分魅力的な選択肢だ。重量級のゲームを高解像度のリッチな環境でプレイ可能で、VRにもしっかり対応する。特にRadeon R9 380XやRadeon R9 380ユーザーにとっては、期待通りのパフォーマンスアップが見込めるだろう。市場におけるボリュームゾーンであるミドルレンジGPUの中で、一定以上の存在感を発揮してくれそうだ。
ほぼRX 480のクロックアップ版なRX 580だが、旧世代からの乗り換えなら十分満足できる。優秀なクーラーを備えた「RX580 IceQX2 OC 8GB」は、その中でもコスパ最強クラスの1枚だ |
そしてミドルレンジのグラフィックスカードとなれば、コストパフォーマンスにはこだわりたいところ。その点でメーカーオリジナルのRadeon RX 580搭載カードの中でも、最安クラスの「RX580 IceQX2 OC 8GB」は要チェック。8GBメモリ搭載モデルながら、4GB版とほぼ同等の価格設定は魅力的だ。セミファンレス仕様のオリジナルクーラー「IceQ X2」も極めて優秀。近ごろ流行りのイルミネーション機能などは持っていないが、冷却能力と静音性は申し分ない。安上がりで完成度が高い、満足のいく買い物になること請け合いだ。