エルミタ的一点突破 Vol.46
2017.07.08 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
次にファンから30cmの位置に設置したデジタル騒音計を使い、ファンの回転数によってどの程度騒音値に差が出るのか確認していこう。
定格クロック:騒音値(暗騒音32.1dBA) |
定格時は回転数に20rpmしか違いがないため、騒音値はいずれも暗騒音から+1.4dBA増の33.5dBAまでしか上がらなかった。また回転数が最も上がる3.70GHzの高負荷時でも騒音値は最高34.1dBA。バラック状態でのテストにも関わらず、耳を澄まさなければその違いに気が付かないほど。冷却性能はもちろん静音性についても非常に優秀だ。
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ヒートシンクの温度をチェックしていこう。こちらはクロックを定格にした状態で、「OCCT 4.5.0」を30分実行した後に計測を行った。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果 | |
高負荷状態30分経過時のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度を確認すると、CPUに最も近い受熱ベース部が最も高く36.1℃。そしてCPUから離れるに従って徐々に温度が低下する予想通りの結果。さらにヒートパイプがなく、風が効率的に抜ける中央部が周辺より低く、天板部中央では最低となる26.8℃を計測した。
サーモグラフィの結果も「ポイント別温度計測結果」とほぼ同様。また4本のヒートパイプ周辺の温度が高くなっていることから、受熱ベースで吸収したCPUの熱がヒートパイプを使いうまく拡散している様子が確認できる。
初代「虎徹」は高い評価を得ていた。その2代目ともなれば、自ずと市場からの期待は大きくなる。当然サイズはそれを知っていたはずで、ずいぶんと進捗に企画・設計されたのではないだろうか。その甲斐あって「虎徹 MarkⅡ」は非の打ち所がなく、上手に仕上げられている。
2代目「虎徹 MarkⅡ」は全高を6mm低くし、より汎用性を高める事を最大のポイントに据えた。当然、物理的に放熱面積は減る計算だが、多少の冷却能力低下も許容しない。あくまでポテンシャルを維持したまま、初代「虎徹」のヒートシンクをブラッシュアップ。検証結果も良好で、高いパフォーマンスを発揮する「虎徹 MarkⅡ」は既に人気モデルとなっている。
Ryzen人気も手伝って、活気のある自作PC市場。絶妙なタイミングでリリースされた「虎徹 MarkⅡ」は、しばらく売れ続けるだろう。