エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.590
2017.08.10 更新
文:テクニカルライター・宮崎 真一
オーバークロックを行った際、懸念されるのが消費電力の増大だ。そこで、定格と「Gear 10」のそれぞれにおいて、システム全体の消費電力を比較してみよう。なお、「CINEBENCH R15」実行時における最も消費電力が高くなる時点を高負荷時、システム起動後10分間放置した時点をアイドル時としている。
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まず、アイドル時においては「GAME BOOST」を利用すると、EIST(Enhanced Intel SpeedStep Technology)が無効になってしまうため、「Gear 10」の消費電力は定格に比べて36Wも高い値となってしまっている。高負荷時にいたっては、両者の差は100W以上にも達してしまっており、オーバークロックの代償はかなり大きい印象だ。しかし、これだけの高い消費電力ながらも、しっかりと安定動作を実現したという点は、「X299 GAMING PRO CARBON AC」は評価できよう。
マザーボードは決して安くない買い物だけに、長期での利用を視野に入れて製品を選択するユーザーがほとんどだろう。その点において、「X299 GAMING PRO CARBON AC」は電源部やオーディオ回路など高品質な部材を利用しており、かなり魅力的な製品に仕上がっている。さらに、「Turbo M.2」や「Turbo U.2」、それにUSB3.1とインタフェースも豊富に揃っており、グラフィックスカードの増設などにもしっかりと対応できる機能性も申し分ない。
また、オーバークロックを試すゲーマーはさほど多くはないものの、「X299 GAMING PRO CARBON AC」のオーバークロック機能の充実ぶりに食指が動くユーザーもいるのではないだろうか。ゲーミング用途でも、オーバークロック用途でも、この「X299 GAMING PRO CARBON AC」は、満足のいく出来のマザーボードであることは間違いない。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社