エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.590
2017.08.10 更新
文:テクニカルライター・宮崎 真一
M.2 SSDを利用したことがある人ならわかると思うが、M.2 SSDはパフォーマンスが高い一方でかなり発熱する。しかも、その発熱によりパフォーマンスが低下する「サーマルスロットリング」が発生する。もちろん、M.2 SSDを冷却すればよいのだが、どうやって冷却するかという問いに1つの解答を示したのが本製品でも採用されている「M.2 Shield」である。
この「M.2 Shield」は、前述したようにM.2 SSDの上側に装着するヒートシンクのようなもので、これによりM.2 SSDの発熱を「M.2 Shield」に移動させ、冷却しようというものである。
そこで、気になるのが「M.2 Shield」の効果である。今回は「CrystalDiskMark 5.2.1」を実行し、温度と転送速度の違いをチェックしてみたい。なお検証用のSSDにはIntel「600p」シリーズの256GBモデル「SSDPEKKW256G7X1」を使用し、M.2 SSDの温度の取得は「CrystalDiskInfo 7.0.5」を用いている。
「M.2 Shield」非搭載時の「CrystalDiskMark 5.2.1:16GiB」のスコア | 「M.2 Shield」搭載時の「CrystalDiskMark 5.2.0:16GiB」のスコア |
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「CrystalDiskMark 5.2.1」の結果では、多くの項目で「M.2 Shield」を装着したほうが高く、その効果を確認できる。またM.2 SSDの温度を見ると、高負荷時において「M.2 Shield」ありのほうが12℃も低くなっており、サーマルスロットリングが解消されたことでスコアが向上していると言ってよさそうだ。
「GAME BOOST」を利用したオーバークロックも試しておこう。「GAME BOOST」は、ツマミを回すことで1 / 2 / 4 / 6 / 8 / 10 / 11の7段階にCPUの動作クロックを変更できる。たとえば、今回利用したCore i7-7800Xの場合、段階を増やすごとに動作クロックが100MHzずつ上昇する。つまり、「Gear 1」では動作クロックが4.1GHzとなり、そこから1段階につき100MHzずつ上昇し、「Gear 11」では4.7GHzになるというわけだ。
「GAME BOOST」は付属のアプリケーションの「Command Center」からも利用可能。「Command Center」では、ツマミの各Gearでの動作クロックも明示されていてわかりやすいのだが、設定を変えるたびに再起動が必要となる点は注意が必要だ |
「Gear 1」:4.10GHz | 「Gear 2」:4.20GHz |
「Gear 4」:4.30GHz | 「Gear 6」:4.40GHz |
「Gear 8」:4.50GHz | 「Gear 10」:4.60GHz |
「Gear 11」:4.70GHz |
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今回の環境では「Gear 11」、つまり動作クロック4.7GHzでもベンチマークテストの「CINEBENCH R15」はクリアした。しかし、そのスコアは定格よりも低くなってしまっており、正しいスコアが得られたのは「Gear 10」の動作クロック4.6GHzまでだった。
定格のTurbo Boost Technology有効時の最大動作クロックが4.0GHzであることを考えると、全コアが4.6GHzで動作したことはなかなかインパクトが大きい。「CINEBENCH R15」のスコアもマルチコアで約7%、シングルコアに至っては約14%もスコアが伸びており、オーバークロックの恩恵はかなり大きい。