• 編集部
  普段ふたりは何語で話しているのでしょうか。
• 門馬マルコス氏
  ポルトガル語です。たまに日本語が混じります。
• 門馬ファビオ氏
  僕もポルトガル語のほうが楽。ちなみに、自宅で見る映画もポルトガル語の字幕です。

DIY水冷PCの組み立ても担当する門馬マルコス氏。最近ではもっぱら、師匠である門馬ファビオ氏よりも組む機会が多いとか

明らかな変化を感じる国内のDIY水冷事情

• 編集部
  門馬ファビオといえば、DIY水冷の使い手としても有名です。エルミタでも2回にわたって、門馬ファビオさんとThermaltakeのDIY水冷にチャレンジしてきました。最近のDIY水冷事情についてどう思いますか。
• 門馬ファビオ氏
  DIY水冷がエンスージアスト向けというイメージは、ほぼ無くなったといっていいでしょう。イベントに参加していると実感しますが、自作歴の浅い人でも積極的にチャレンジしている光景をよく見ます。

第1回目ではThermaltake「Pacific」シリーズのハードチューブを使ったテクニックを紹介	第2回目では多数のオプションパーツを使い、DIY水冷マシンの大幅グレードアップに挑戦した

• 編集部
  秋葉原でも取り扱いショップは増えましたし、ショップスタッフの中にもDIY水冷のPCを使っている人をよく見かけるようになりました。
• 門馬ファビオ氏
  かつてあった“DIY水冷は難しいからやらない”というイメージはないですね。「DIY水冷でPCを組みたいんですけど」と相談されると、すごく嬉しいです。

メーカーイベントでDIY水冷の魅力を伝えるのも門馬ファビオ氏の重要な業務。会場は毎回、立ち見が出るほど満員となる	ここ1年で急激に取り扱いショップが増えつつあるDIY水冷パーツ。購入相談に対応できるスタッフも増えた

• 編集部
  なぜ、DIY水冷が普及し始めているのでしょうか。
• 門馬ファビオ氏
  メーカーや代理店、メディアの力もありますが、一番はDIY水冷で組んだマシンがカッコいいから。これにつきます。もうひとつは、SNS全盛時代になり、PCを見せたいというユーザーが日本でも増えつつあるからだと思っています。水冷PCって写真映えするじゃないですか。「オマエのPCカッコいいな」みたいなのは、特に若い人になると重要ですよ。
• 編集部
  DIY水冷を始めたいと考えている人は、具体的にどこから始めればいいでしょうか。
• 門馬ファビオ氏
  少し前なら迷わずCPUからと言っていましたが、今は違います。私がもしこれからDIY水冷を始めるとしたら、絶対にグラフィックスカードからです。
• 編集部
  それはまたなぜですか。
• 門馬ファビオ氏
  グラフィックスカードといっても自分で水冷ブロックを取り付けるのではなく、あらかじめ装着済みの製品を買うという事です。これもDIY水冷が普及した影響ですが、便利なもので、MSIやZOTACなどからウォータブロックを標準搭載するGeForceが販売されています。これとラジエターやポンプ、リザーブタンクなどDIY水冷に必要な基本パーツをセットで買うのがいいでしょう。

各社から発売されているウォータブロックを標準搭載するグラフィックスカード。メーカー保証も付いており、水冷初心者でも安心して利用できる

• 門馬ファビオ氏
  そもそも熱いパーツを冷やすという意味では、CPUよりずっと熱いのがグラフィックスカード。特にゲーマーの人なら、安定動作に加え高いパフォーマンスを発揮するという実用的な観点からも、グラフィックスカードの水冷化はオススメです。CPUの冷却は、とりあえず一体型水冷キットでいいでしょう。これでもデュアル水冷PCですから、見た目にも十分迫力あるPCに仕上がるはずです。
• 編集部
  決してCPUの水冷化が優先ではないということですね。確かにゲーマーの人にとっては、グラフィックスカードの水冷化は実用的な選択肢です。
• 門馬ファビオ氏
  まずは水冷というものに慣れてから、CPUに水冷化を施す。または、ハードチューブ加工にチャレンジするのもアリです。
• 編集部
  始めるにあたり、オススメのPCケースなどありますか。
• 門馬ファビオ氏
  とにかく、サイズが大きいに越したことはありません。DIY水冷に限りませんが、Mini-ITXケースの自作ってハードル高いですよね。グラフィックスカードが干渉するとか、CPUクーラーの高さに制限あるとか。ですから水冷化を見据えているなら、なるべく大きいケースを選択しておく。さらに言うなら、万が一水漏れした場合、他のパーツに与える影響は比較的少ないですね。
• 編集部
  そういった“悪夢”の水漏れですが、水冷初心者ほど怖いと思います。
• 門馬ファビオ氏
  自分もそうでした（笑）。一番の防止策は、基本に忠実に、ということです。カットする場合は垂直に切る、取り付けの場合はしっかりと差し込むなど、ひとつひとつの作業をしっかりと行えば問題ありません。

DIY水冷のベースケースは「内部が広く、大きなサイズのモデルがいい」と話す門馬ファビオ氏。大きめのミドルレンジケースがちょうどいいという