エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.601
2017.09.28 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後にファンから30cmの距離に設置したデジタル騒音計を使い、騒音値を測定していこう。なお今回は公平を期すため、測定時にVGAクーラーのファンの回転は強制的に停止させている。
アイドル時は定格動作、4.025GHz動作とも35.0dBAを超えることはなく環境音に完全に紛れてしまう。また高負荷時でも定格動作であれば40.0dBAを超えることはなく、ハイエンドPCとは思えないほど静音性は優秀だ。一方、3つの120mmファンが2,000rpm前後で回転する4.025GHz動作では52.1dBAまで上昇。ケースに入れた場合でも音を完全にシャットアウトするのは難しく、個人的には常用するのをためらうレベル。冷却性能にはまだ余裕があるため、回転数を調整するなどの対策をしたほうがいいだろう。Ryzen Threadripperでオーバークロックをする場合は、騒音や冷却性能との折り合いを考えたチューニングをする必要がある。
コンシューマ向け最高クラスの性能と引き換えに、メインストリームモデルRyzenから大幅に消費電力が増加したRyzen Threadripper。「AMD SenseMIテクノロジー」の自動オーバークロック機能を有効に動作させ、常に高速かつ安定したパフォーマンスを発揮するには冷却システムが重要になる。これはAMDが水冷ユニットを推奨し、リテールパッケージに既存オールインワン型水冷ユニット用のマウンタを同梱していることからも明らかだ。
Ryzen Threadripperの熱を完全に押さえ込む「LIQTECH TR4 360」。コンシューマ向け最高峰のパフォーマンスと静音性を兼ね備えたPCを構築できる |
そんなRyzen Threadipper専用モデルとして登場したENERMAX「LIQTECH TR4 360」。定格運用であれば高負荷時でも50℃前半、消費電力が100W以上増加する4.025GHz動作時でも60℃前半に収まる冷却性能はさすがの一言。定格運用であれば静音性も良好で、TDP180WのCPUを使用していることをまったく感じることなく、淡々と仕事をこなしてくれる。さらに専用モデルらしく取り付け方法も洗練されており、スキのない仕上がり。まさしくRyzen Threadripperのベストパートナーとなる製品だ。