エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.602
2017.09.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ここまでのベンチマークでは、ハイエンドデスクトップPCに匹敵するパフォーマンスを叩き出した「CORSAIR ONE PRO」。最後に冷却システムの能力をチェックしていこう。測定条件は消費電力と同様に、温度とファンの回転数は「Corsair Link」、騒音値はトップの排気ファンから30cmの距離に設置した騒音計を使い計測を行った。
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アイドル時の「CPU CHAMBER」側のサーモグラフィ結果 |
「CINEBENCH R15」実行時の「CPU CHAMBER」側のサーモグラフィ結果 |
まずCPUの温度を確認するとアイドル時で44℃、高負荷時は82℃でいずれもやや高め。さらにオーバークロック時は89℃まで上昇しており、常用するにはややためらう温度だ。しかし、サーモグラフィの結果を見るとラジエター部の温度はほとんど変化がなく、トップから排出される暖気が若干上昇したのみ。このことから、Intel系CPUで使用されている熱伝導率の低いTIMによるボトルネックが発生していると考えられる。ただし、ベンチマークはオーバークロック状態でも問題なく完走。テスト中に不安定な挙動を示すこともなく、実運用での影響は見られなかった。
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アイドル時の「GPU CHAMBER」側のサーモグラフィ結果 |
「3DMark」実行時の「GPU CHAMBER」側のサーモグラフィ結果 |
続いてGPUの温度を確認するとこちらはアイドル時で28℃、高負荷時でも61℃までしか上がらず、TDP250WとされるGeForce GTX 1080 Tiの発熱を完全に押さえ込むことに成功している。またサーモグラフィの結果を見るとラジエター部の温度がまんべんなく上昇しており、GPUの熱が効率よくラジエターに移動している様子が見て取れる。
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最後にファンの回転数と騒音値をチェックしていこう。温度が低いアイドル時はファンの回転数は420rpm前後で推移。騒音値も暗騒音+0.3dBAの33.4dBAまでしか上がらず、実際に測定をしていてもノイズを感じることはなかった。一方、高負荷時はファンの回転数は1,200rpm前後、騒音値は42.5dBA前後まで上昇。さすがに静音という訳にはいかないが、ファンの口径が大きく、低周波ノイズが中心のためそれほど耳障りに感じることはなかった。
CORSAIRのもつノウハウを生かし、集大成モデルとしてデビューしたコンパクトゲーミングPC「CORSAIR ONE PRO」。Mini-ITXマザーボード並の極小フットプリントながら、現行のコンシューマ向けでは最高峰のCPUとグラフィックスカードを搭載。各種ベンチマークでは、最速の謳い文句通りハイエンドデスクトップPCに匹敵するパフォーマンスを発揮した。さらにオールインワン水冷システムの先駆者らしく、冷却には標準タイプではなく、筐体サイズに合わせた新設計の水冷システムを導入するこだわり。これにより、コンパクトPCでは特に問題になりがちな騒音問題をクリアした。
専用デュアルチャンバー筐体やカスタムオールインワン水冷など、独自パーツを数多く使用した「CORSAIR ONE PRO」。自作では作り上げることのできないプレミアムな1台だ |
唯一CPUの温度が高めな点はやや気になるものの、これはCORSAIRだけで解決するのは少々難しいのも事実。今回の検証ではテスト中に不安定な挙動を示すこともなく、必要以上に神経質になることはないだろう。随所にカスタムパーツを導入した「CORSAIR ONE PRO」は、自作PCでは実現することができないプレミアムな一台に仕上げられている。また今後はぜひRyzenシリーズを搭載した、マルチスレッド特化モデルの登場にも期待したい。
協力:CORSAIR
株式会社リンクスインターナショナル