メモリ業界の巨人である
Kingston Technology(本社:アメリカ カリフォルニア州)が、ここ数年で本格進出を図っているカテゴリがゲーミングデバイスだ。ゲーマー向けメモリのレーベルだった
「HyperX」は、いまやゲーミング向けの総合ブランドへと成長。看板製品のヘッドセットだけに飽き足らず、競争の激しいゲーミングキーボードの分野にも足場を築こうとしている。今回そのHyperXブランドが初めて手がけた、大型メカニカルキーボード
「Alloy Elite」が編集部に届けられた。経験値の少ないデバイスのはずが、なかなかに見事な風格。これが今回の主役だ。
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HyperX「Alloy Elite」(型番:HX-KB2BL1-US/R1) 実勢売価税込14,980円
製品情報(HyperX)
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堅実なアプローチで日本市場を攻める、老舗Kingstonのゲーミングブランド「HyperX」
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ゲーミングデバイス市場への参入からまだ数年ながら、いまHyperXブランドが勢いに乗っている。9月には、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ」に初出展を果たした
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メモリ分野における世界最大の独立メーカーとして、日本でもなじみが深いKingston。その同社が展開するゲーミングブランドがHyperX、ブランド創立は2002年まで遡る。これまでもゲーマー向けのオーバークロックメモリやハイエンドUSBメモリ製品で、その名前に親しんだユーザーも多いはずだ。
そのHyperXが、ゲーミングデバイス市場に参戦したのが2014年のこと。まだ参入から日が浅い分野ながら、すでにヘッドセット「Cloud」シリーズで地位を固め、昨年には初のキーボード製品をリリースした。そこで後発ながら勢いに乗るHyperXの今を知るべく、先ごろ開催された「東京ゲームショウ2017」の会場にてインタビューを敢行。来日したKingstonのキーマンに話を聞いた。
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Senior Marketing Manager, APAC Regionを務めるSusan Yang氏。アジア太平洋地域におけるマーケティングチーム(DRAM・周辺機器)のリーダーで、Kingston在籍は8年目。「COMPUTEX TAIPEI 2017」でもメディア向け発表を担当した、お馴染みの要人だ
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- 編集部
2014年からの参入ということで、ゲーミングデバイス市場におけるHyperXは、まだ新しいブランドと言えます。競合が多いカテゴリですが、他ブランドとの違いやHyperXならではの強みを教えてください。
- Susan氏
確かにデバイス分野では新参者ですが、いまHyperXは急速に成長を遂げています。主力のヘッドセットは、わずか3年で200万台の出荷を達成しました。世界中のデバイスメーカーを見回しても、これほど成長スピードが早いブランドは珍しいでしょう。それだけ魅力的な製品を送り出せたのだと、社内でも大きな自信に繋がっています。
- 編集部
HyperXのヘッドセットは、秋葉原のショップでもよく目にします。ヘッドセットで大きな成功を収めるにあたって、重視していたことはなんでしょうか。
- Susan氏
まずはHyperXというブランドのイメージを確立することですね。他カテゴリの製品でもそうですが、HyperXは高品質で高級感があり、ハイエンドなブランドを目指しています。ハードコアなユーザーが本当に望む良い物を作りたい、という意識を大事にしました。
- 編集部
確かにHyperXはじめKingstonの製品は、高級感のある製品が多いイメージです。ちなみにこうした製品を開発するデザインチームは、やはり本国のアメリカに拠点を構えているのでしょうか。
- Susan氏
その通りです。製品の開発やデザインについては、すべてアメリカ本社のチームが担当しています。製造は、他のデバイスメーカーもそうだと思いますが、中国の工場で行っています。もちろん品質は、こちらでしっかりハンドリングしていますよ。
- 編集部
デバイス分野に進出するにあたって、ヘッドセットとマウスパッドが最初のプロダクトでした。キーボードやマウスをリリースするまで、3年近くかかったのはなぜでしょう。
- Susan氏
我々は何か新しいことにチャレンジする時、闇雲に製品を投入することはしません。まず最初に手がけたデバイスでしっかりと成功を収めて、次に進むのはそれから。何事もステップ・バイ・ステップで進めていくんです。やや保守的に思われるかもしれませんが、それがKingstonの基本的なマインドなんですよ。
- 編集部
主力のヘッドセットに続いて、日本でもキーボード製品の発売が始まっています。日本の市場については、どのような印象をお持ちですか。
- Susan氏
日本は昔からコンシューマ向けを中心に、ゲームの文化・伝統が根付いているスペシャルな市場です。その一方でPCゲームのeスポーツ文化はまだ発展の余地を残していますから、その流れにHyperXが貢献しつつ、一緒に成長していければと考えています。