エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.603
2017.10.05 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
妥協なく作り込まれている印象の「Alloy Elite」、はたして肝心の打ち心地や使い勝手はどうだろうか? |
エルミタ読者の中には、「スイッチが同じでもキーボードによって打ち心地は違う」と力説して、変態扱いされた経験があるかもしれない。これは入力を受け止めるキーボードの剛性やフレームの素材といった、製品由来の要因で打ち心地が変わってしまうためで、キーボード好きにとっては譲れない一線だ。
その点で幅広く厚みのあるスチールフレームを採用した「Alloy Elite」は、Cherry MXの快適な打鍵感を存分に味わえる良質なモデル。約1.5kgの重量からくる安定感と硬質な底打ち感は、メカニカルキーボードの愛好家を十分に満足させる出来栄えだ。大型モデルであるが故の“座高”の高さについては、ソフトコーティングが施されたパームレストがうまく吸収してくれるため、まったく問題はない。
Microsoftの「Keyboard Ghosting Demonstration」を使用して、同時押し機能を確認。30キー以上がしっかり同時に認識できている |
また、ゲーミングモデルには欠かせないバックライト機能も要チェック。「Alloy FPS」の場合はFnキーと特定キーとの同時押しが必要だったモード切り替えは、独立ボタン実装によりワンアクションで可能になった。
なお、バックライトの発光パターン(モード)は、「点灯/明滅/押したキーが発光/押したキーを中心にウェーブ発光/ウェーブ発光(自動)/FPSゾーンのみ発光」と、全部で6パターンを搭載している。
まったく他業種の巨大メーカーがゲーミングデバイスに参入する時、キーボードやマウスはもちろん、マウスパッドやヘッドセット、ともすればゲーミングチェアやスピーカーまで・・・とにかく全方位で一気に展開を始める例が多い印象だった。ところがHyperXが最初に手掛けたのはヘッドセットで、キーボードをリリースするまでは3年。堅実かつ保守的を旨とするマインドを貫き、新しいジャンルの製品にじっくり時間をかける。そうした真面目な姿勢が、初の大型ゲーミングキーボードである「Alloy Elite」の完成度にも表れているようだ。
据え置きモデルらしいガッシリとした筐体全体でスイッチを受け止め、打鍵感はきわめて良好。入力機械のキーボードとしては、十分魅力的な製品に仕上がっている。英語配列に抵抗を感じる人にとっても、そう遠からず発売されるという日本語配列モデルを待つ価値はあるだろう。
キーボード本来の機能はかなり魅力的、肉厚な大型ボディを活かしてメカニカルスイッチの良さを堪能できる。ゲーミング機能も実用的なものが揃った秀作だ |
ゲーミング向けの機能もまた、要所を押さえた実用的な仕様。欲を言えばマクロ登録機能などがあってもよかったが、プレイするゲームによってはいい印象を持たれない場合もあることから、あえて削られているのかもしれない。
いずれにしろ、高級モデルとしての説得力を十分にもったゲーミングキーボードといえる「Alloy Elite」。異なる特性をもった「Alloy FPS Pro」も魅力満載とあって、今後リリースされるHyperXのキーボードにも大いに期待したい。
大型モデルに対する極スリムを追求した、HyperXの「Alloy FPS Pro」も注目。さらにノウハウを積み上げ、今後も魅力あるキーボードを作ってほしい |
協力:HyperX(Kingston Technology)