エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.605
2017.10.13 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
組み込み実践の最終セッションでは、水冷ユニットを搭載してみよう。「VIEW 71 TG」は、4面にわたり5mm厚の強化ガラスが装着され、誰の目にもコンセプトは”魅せるPCケース”である事は明らか。そこで「DIY水冷」(本格水冷)導入を試みる人は多いだろう。さらに腕に自信がない人でも、イマドキの簡易水冷(オールインワン型)なら十分にドレスアップを楽しむことができる。ここでは水冷パーツに力を入れるThermaltakeの新作「Floe Riing RGB 360 TT Premium Edition」(型番:CL-W158-PL12SW-A)を用意。搭載テストを試みた。
Thermaltake「Floe Riing RGB 360 TT Premium Edition」(型番:CL-W158-PL12SW-A) |
「VIEW 71 TG」のラジエター搭載スペースは、フロントとトップ、リアとボトムに加え、マザーボードの右横に位置する縦列の計5箇所にもおよぶ。そこで手始めに、360mmサイズラジエターに120mm Riing RGBファン3基を左サイドパネルと正対してマウントできる、”マザーボードトレイ右横”に搭載を試みた。
魅せるPCをより意識するなら、ラジエターは左サイドパネルに正対するマウントポジションがベスト |
装着画像のラジエター搭載位置を見て欲しい。まずケージタイプで上下2段構えのシャドウベイユニットは共存できないため、取り外す事になる。またマザーボードトレイ右手部分はカットされており、右サイドパネル側へ排気できる仕組み。ラジエター固定用のネジ穴も装備されている。
ただし搭載テストで使用した「Floe Riing RGB 360 TT Premium Edition」のチューブ長は公称326mm。ウォーターブロックまでの距離が限られているため、トレイのカット部分よりやや左側でのマウントになってしまった。ちなみにこのマウントポジションの場合、グラフィックスカードは実測で約280mmまでに制限される。干渉してしまう場合は、垂直配置で運用すればいい。
「VIEW 71 TG」マニュアル記載の図説には、ラジエター搭載スペース周辺のマージンが詳細に開示されている |
次にトップパネルに360mmサイズラジエターを固定してみよう。マザーボードトレイ右横固定との比較では、チューブの長さが十分であること、さらに水平配置時におけるグラフィックスカードの搭載スペースが最大限利用できる点がメリットとして挙げられる。
トップマウントのオーソドックスなスタイルに物足りなさを感じる人もいるだろう。とは言え、トップパネルにも5mm厚の強化ガラスが装着されている。RGB LEDのイルミネーションギミックは、上部からも十分に楽しむ事ができる。
ラジエターをマウントするトップパネルは、前後各2本のハンドスクリューで固定。「Type B」(Center)の位置で出荷され、メモリやマザーボードへの干渉を回避する場合は画像のように「Type A」(Offset)の位置に移動可能 |
ちなみにマザーボードトレイとラジエターの距離は「Type A」(Offset)で50mm、「Type B」(Center)で10mm。つまりラジエターは最大で40mm左サイドパネル側に移動できる計算 |
「Floe Riing RGB 360 TT Premium Edition」の360mmサイズラジエターを「Type A」(Offset)で固定。チューブは背面側のレイアウトで装着を試みた。開口部が広く、内部容積も十分だけに作業はし易く、収まりもいい。空冷一辺倒だった自作派も、少し心が揺らぐだろう。
新旧Thermaltakeのロゴで埋め尽くされた「VIEW 71 TG」のトップエリア。オールインワン型水冷でも十分にクールなPCが完成する |
PCケースの検証は時間と手間が掛かるようになった。組み込みがしにくくなったワケではなく、設計に難があるワケでもない。それは数年前の旧世代に比べ、巧妙な仕掛けや思いもよらないギミックが盛り込まれているからに他ならない。
ありきたりの製品は淘汰され、当節のPCケースはとてもよくできている。しばらく自作PCから離れていた人は、ぜひもう一度チャレンジしてほしい。フロントパネル裏手を占領していたシャドウベイや、リアトップの電源ユニット搭載スペースはもう無い。
組み込みと撮影、そしてライティングの繰り返しで想定以上に時間を要した「VIEW 71 TG」検証だが、終わってみれば実に楽しかった。角度を少し変えるだけでも重労働なのは、5mm厚の重厚な強化ガラスがふんだんに使われているためで、幾度となく筆者の腰は悲鳴をあげた。しかし18.9kgの重量を支えるとあって、剛性は高く、市場想定売価税抜15,980円とはとても思えない。個体差なのか、トップパネルの着脱にやや難アリだったが、総じて完成度は高い。
“さぁ好きにドレスアップしてください”と訴えかける「VIEW 71 TG」。自作が楽しくなるフルタワーPCケースで、大いに腕を振るってみようじゃないか。
協力:Thermaltake Technology
株式会社アスク