エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.607
2017.10.28 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次にUEFI標準の簡易チューニング機能を使い、Core i7-8700Kのオーバークロックに挑戦していこう。今回は「OC Tweaker」タブにある「Load Optimized CPU OC Setting」の5種類のプリセットを使い、どこまでクロックを引き上げることができるか確認してみることにした。
「Load Optimized CPU OC Setting」にある5つのプリセットすべてで動作を確認 |
「Turbo 4.5GHz」時。電圧は最高1.200V | 「Turbo 4.6GHz」時。電圧は最高1.264V |
「Turbo 4.7GHz」時。電圧は最高1.328V | 「Turbo 4.8GHz」時。電圧は最高1.344V |
「Turbo 5.0GHz」時。電圧は最高1.472V |
今回はすべてのプリセットでOSの起動は問題なし。ただしCoffee LakeではTurbo Boost機能がかなり有効に働くようで「Turbo 4.6GHz」までは、シングルコア/マルチコアとも定格のほうがスコアが高くなった。また「Turbo 5.0GHz」のマルチコアテスト時にパフォーマンスが落ちているのは、CPUクーラーの冷却性能が不足し、サーマルスロットリングが発生しているため。実際の挙動で不安定になることはなく、電源回路にはまだ余裕がある印象。より高冷却なクーラーを組み合わせてやれば、さらに上のクロックも狙えそうだ。
最後にオーバークロックによって消費電力がどの程度増加しているか確認しておこう。計測は「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
「CINEBENCH R15」で定格の後塵を拝した「Turbo 4.5GHz/4.6GHz」では、定格時よりも消費電力が低下。省電力プリセットとして利用するのも面白い。また高クロック動作時の消費電力を確認すると安定動作する「Turbo 4.8GHz」で約35W、「Turbo 5.0GHz」では約90Wと大幅に増加。Coffee Lakeでピーキーなチューニングを行う場合は、堅牢な電源回路と高冷却クーラーは必須条件だ。
2008年に登場した“Lynnfield”以来、永らく4コア/8スレッド構成が続いていたIntelのメインストリーム向けハイエンドCPU。アーキテクチャの変更に合わせて、プロセスの微細化による高クロック化や新命令セットへの対応などが行われてきたが、世代間の性能差は限定的だった。しかし、今回登場したCoffee Lakeでは、遂にコア数が6コア/12スレッドへと変更。さらにキャッシュメモリやメモリコントローラにも手が加えられ、従来モデルから大幅に性能がアップ。新規にPCを組む人はもちろん、従来モデルからアップグレードをためらっていた人にもとても魅力的な製品に仕上がっている。
そして今回の主役である「Z370 Taichi」に目を向けると、Coffee Lakeに最適化した堅牢な電源回路や、最高4,333MHzまでのサポートを謳う新メモリ回路設計「Hyper DDR4」など、ベースとなる機能をシッカリとブラッシュアップ。さらに外部クロックエンジン「Hyper BCLK Engine II」を搭載することで、CPUの持つ性能を最大限に引き出すことができる。
もちろん歴代「Taichi」シリーズで定評のあった拡張性は本モデルでも継承。またLEDライティングやメタルシールドスロットなど、現在のトレンド機能もそつなくまとめられている。メインストリーム向けらしく、すでに多くの製品が発表されているIntel Z370マザーボード。その中でもキラリと光る秀作「Z370 Taichi」を使い、ぜひCoffee Lakeの性能を満喫してほしい。
協力:ASRock Incorporation