エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.618
2017.12.05 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
組み込みセッションの最後は、水冷ユニットを搭載してみよう。予想を裏切る「Versa H26」は、フロント最大360mmサイズ、トップ最大360mmサイズ、リア120mmサイズの各ラジエターが搭載できるように設計されている。とても廉価版PCケースとは思えない仕様だが、それが単なる飾りではなく、実用に値するのかがポイントになろう。今回は特にフロントとトップの搭載スペースにフォーカスし、それぞれにラジエターをマウントしてみることにした。
360mmサイズラジエターをシャーシ面フロントパネル部にネジ留め。なおボトムカバー前面はラジエターが貫通するため、ネジ固定されたプレートを取り外せばいい。ちなみに開口部のサイズは幅約140mm、幅約50mmだった |
トップ面には240mmサイズラジエターを備えた「Floe Riing RGB 240 TT Premium Edition」(型番:CL-W157-PL12SW-A)を搭載。マザーボードとトップパネルまでの距離が十分確保されているため、問題なくマウントできた。ただし5.25インチオープンベイ上段まで占有する事になる |
代理店の株式会社アスクによれば、「Versa H26」はコストパフォーマンスに優れた日本オリジナルモデルという触れ込みだ。なるほど、ThermaltakeのGlobalサイトを見ると、数ある「Versa」シリーズに「H26」の型番は存在しない。
このモデルの販売開始を聞いたとき、正直耳を疑った。自作PCパーツメーカーの中でも元気のいいThermaltakeが、ここで市場想定売価税抜3,980円のPCケースを投入する必要があるのか。独自の仕掛けが市場から受け入れられ、2017年も変わらず快進撃を続ける中、単なる価格勝負だけのPCケースは無意味に感じたのだ。
そんな気乗りのしない思いを抱きつつ借り受けた「Versa H26」は、検証を進めるごとに、次々とその懸念を吹き飛ばしていく。まずPCケース全体に廉価版にありがちなチープさは一切感じない。工作精度もまずまずで、剛性も及第点レベル。内部設計はThermaltakeの従来機種を踏襲し、拡張性も十分に確保されている。
敢えて無粋な見方をすれば、標準装備されたフロントのブルーLEDファンと、リアの標準ファンの単品販売価格を足し算したところで、この売価は驚異的である事は誰の目にも明らかだ。
「Versa H26」は、Thermaltakeのネームバリューに頼るだけの廉価版PCケースではなく、従来機種の中堅モデルと遜色ない、「超お買い得な佳作」と言えるだろう。この価格帯では、疑う余地なく現時点ナンバーワンだ。
協力:Thermaltake Technology
株式会社アスク