エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.622
2017.12.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ベンチマークテストによる検証が一段落したところで、ここではその最中の「GV-N107TGAMING-8GD」の挙動を振り返ってみよう。変化する負荷に3連ファンクーラー「WINDFORCE 3X」はどう対応したのか、ベンチマーク中のGPU温度とファン回転数を「GPU-Z」を使用してチェックする。なお、テストに際しては、「3DMark」の「Time Spy Extreme」を30分動作させた際の数値を高負荷時、アイドル時には起動後何もせず30分放置した際の最低値を採用している。
結果から言うと、「Gaming」と「OC」間の差はおとなしいもので、高負荷時でもGPU温度はほとんど変わらなかった。ファン回転数の違いも100rpm程度で、回転率はともに40%台。「WINDFORCE 3X」は、まだかなり冷却のマージンを残していることが分かる。騒音値に関しても、アイドル時はセミファンレス機能が働いて騒音ゼロ、高負荷時でも耳元に届くことはなかった。多少厳しめなケース内環境でも問題にならないのはもちろん、さらなる高クロック動作に対応するだけの余裕がありそうだ。
最後は「GV-N107TGAMING-8GD」を動作させた際の消費電力をチェックし、テストセッションを締めくくりたい。GeForce GTX 1070 Ti搭載環境の消費電力、そして動作クロックの違いはどう現れるのか。上記同様に「Time Spy Extreme」を30分動作させた際を高負荷時、起動後何もせず放置した際の数値をアイドル時として、ワットチェッカーを用いた計測を行った。
テストでは有為な差が表れていたものの、動作クロックの違いは38MHzとあって、消費電力で大きな差は開かなかった。高負荷時の「OC」でも300Wを大きく下回っており、電源ユニットへの要求も大きくない。
そうとなれば、省電力性能と「WINDFORCE 3X」の冷却能力を活かし、手動OCでさらにパフォーマンスアップを狙ってみるのも一興。ただし補助電源はリファレンス仕様の8pin×1のため、あまり電圧をゴリゴリいじるようなチューニングの際は、ある程度注意が必要になるだろう。
上位GPUとそれほど違いがないスペック構成とあって、なるほど「GeForce GTX 1070 Ti」は“ほぼGeForce GTX 1080”といえる性能をもっている。その特有の事情からファクトリーチューンこそ施されてはいないものの、ワンクリックの簡易OCでスペック以上の性能が引き出せるなら問題なし。今回検証を行った「GV-N107TGAMING-8GD」は、ほとんど手間いらずのカスタマイズながら、期待以上の伸びしろを見せてくれた。
「GeForce GTX 1070 Ti」がもつ大型クーラー「WINDFORCE 3X」の性能と、優れた信頼性はグラフィックスカード選びの重要ポイント。上位匹敵のGTX 1070 Tiから選ぶ、鉄板モデルの有力候補に挙がるのは間違いない |
もっとも仕様的に“まっさら”な状態で、カスタマイズはユーザー次第とくれば、カード由来のオリジナル装備が重要になってくる。その点で「GV-N107TGAMING-8GD」は、空力特性に優れた3連ファンと複合パイプ、大型ヒートシンクを組み合わせた、2スロット厚では屈指の冷却能力をもつ魅力的なモデル。さらにTITAN X同等のコンポーネントに支えられた、構成部材の信頼性も大きなトピックだ。年末年始のゲーミング環境をアップグレードするGeForce GTX 1070 Ti搭載カードの秀作を探しているなら、ぜひ選択肢に加えておきたい。
協力:日本ギガバイト株式会社