エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.624
2017.12.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは、Core i5-8600Kのオーバークロックに挑戦する。今回は「Click BIOS 5」に搭載されている「GAME BOOST」機能に加え、コア倍率とコア電圧を調整する簡単な手動オーバークロックを行い、その限界を確認してみることにした。
「GAME BOOST」を有効にするとマルチコア処理時でもおおむね4.20GHzで動作する |
手動オーバークロックではコア電圧を1.300Vに設定することで、倍率を52倍(5.20GHz)まで引き上げることができた |
5.20GHz駆動時の「CPU-Z 1.80.0」の結果。コア電圧は固定しているためアイドル時でも大幅に低下することはない |
まず定格と「GAME BOOST」の違いを確認していこう。「GAME BOOST」では、クロックの最大値は定格の4.30GHzから変わらないものの、Turbo Boostによる上昇率が高くなり、シングルコア、マルチコアともスコアは約2%上昇した。安全圏内でもうひと伸び性能が欲しい場合には有効な機能になりそうだ。また手動オーバークロックで5.20GHzに設定した場合は、いずれのテストでも約23%と大幅にスコアがアップ。特に重量級のゲームやエンコード処理などを行う場合には、体感速度を大きく改善することができる。
続いて消費電力の違いを確認していこう。「GAME BOOST」では、電圧が固定されるためアイドル時はやや高めだが、高負荷時は定格+2Wしか変化がなくほぼ誤差の範囲。一方、5.20GHz駆動時は定格から70W以上も消費電力が増加。もちろんCPUの冷却にも気を配る必要はあるが、エントリーモデルながら「Z370 GAMING PLUS」の電源回路の優秀さがわかる結果と言えるだろう。
数多くの製品が揃うIntel Z370マザーボードの中でも最廉価帯に位置づけられる「Z370 GAMING PLUS」。1スロットのみの「Turbo M.2」やUSB3.1 Gen.2、NVIDIA SLIの非対応など、ミドルレンジ以上の製品に比べると拡張面を中心に確かに制限はある。とは言え、前者の2つは必要になれば拡張カードで対応が可能。またNVIDIAがコンシューマ向け製品のマルチグラフィックスに以前ほど積極的ではないことを考えれば、いずれも多くのユーザーとってそれほど大きなデメリットにはならないはずだ。
最廉価帯のエントリーモデルでも品質には妥協しない。MSIらしい安定性を重視した設計が光る「Z370 GAMING PLUS」 |
品質面では5.0GHz超えのオーバークロックにも耐えられる堅牢な電源回路や、4,000MHzの高速メモリに対応するメモリスロット、重量級のグラフィックスカードを支える「PCI-E Steel Armor」などを装備。さらにIntel製ゲーミングLANや高音質オーディオ回路など総合的なゲーミングマザーボードとしての完成度も上々だ。出費をできる限り抑えつつハイパフォーマンスを狙いたいゲーマーにとっては、まさにピッタリの1枚になるだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社