エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.630
2018.01.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ベンチマークによるパフォーマンステストが一段落したところで、ここからはストレステストを使いオリジナルトリプルファンクーラーの実力をチェックしていこう。ステレステストは「Time Spy Extreme」で、ファンの回転数やGPUの温度は「GPU-Z 2.5.0」を使い取得した。なお前述の通り、「GPU-Z 2.5.0」ではファン停止時の回転数がうまく取得できず、1,300rpm前後で認識されるが、今回はそのままの数値を採用している。
まず最高1,607MHz/平均1,590MHz前後で推移する「ターボ」では、ファンの回転数は2,900rpm前後(約90%)、GPUコアの温度は78℃まで上昇。クーラーの冷却性能をほぼ最大限に使い、GPUコアクロックや電圧を引き上げていることがわかる。一方、「バランス」では、コアクロックは-40MHzのおおむね1,550MHzで推移。これに伴いファンの回転数は2,550rpm前後(約75%)、GPUコア温度も最高73℃まで低下した。さらに「省電力」ではコアクロックを1,440MHz前後まで下げることで、ファンの回転数は1,450rpm前後(約40%)、GPUコアの温度も最高71℃で頭打ちとなり、冷却性能にはかなり余裕ができている。
続いて騒音値を確認すると、アイドル時はいずれもファンの回転が停止するためノイズとして拾うのはCPUクーラーの音のみ。また高負荷時は「省電力」では41.5dBAが最高で静音性は良好。しかし「バランス」では48.5dBA、「ターボ」では51.9dBAまで上昇し、なかなか勇ましい音が鳴り響く。騒音をできる限り抑えたいなら「省電力」一択だ。
「ターボ」モード:アイドル時の前面のサーモグラフィ結果 | 「ターボ」モード:ストレステスト実行時の前面のサーモグラフィ結果 |
「ターボ」モード:アイドル時の裏面のサーモグラフィ結果 | 「ターボ」モード:ストレステスト実行時の裏面のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を確認すると大型ヒートシンクのおかげもあり、ファンが完全に停止するアイドル時でも50℃以下。また高負荷時でもファンがある前面は50℃台半ば、ファンのない裏面でも67.2℃が最高で、冷却不足を感じる箇所はなかった。
テストセッションのラストは、消費電力をチェックしていこう。起動後10分間何もせず放置した際の数値をアイドル時、ストレステスト実行中の最高値を高負荷時として採用。なお計測には電力ログが取得できる「Wattup Pro」を使用した。
動作クロック、コア電圧とも同等レベルまで低下するアイドル時はいずれも55W前後で横並び。しかし高負荷時は「省電力」の344.8Wに対して、「バランス」では+80.5Wの425.3W、「ターボ」では+124.3Wの469.1Wと大きな差がついた。このクラスの製品を購入する層で消費電力を気にする人はそう多くはないだろうが、「バランス」や「ターボ」は電源にもかなり負荷が掛かることは覚えておく必要がある。
AMDグラフィックスでは長らく不在だったハイエンド帯に投入されたRadeon RX Vega 64。「ターボ」や「バランス」での消費電力の高さは気になるところだが、従来のRadeon RXシリーズでは力不足だった4Kクラスの高解像度環境でも十分なパフォーマンスを発揮。競合となるNVIDIA製品とも充分に渡り合うことができるレベルまで引き上げられている。
さらに「NITRO+ RX VEGA 64 LE」では、Radeon RX Vega 64の発熱を完全に封じ込める高冷却クーラーと、14+1フェーズの堅牢な電源回路のおかげで、空冷モデルにも関わらず水冷モデルに匹敵する高クロックチューニングに成功。セミファンレス機能やRGB LEDライティングなどイマドキの機能も網羅され、まさにAMDグラフィックス最高峰モデルの名に恥じない仕上がりだ。
ただ製品の入手性が非常に悪い点が気がかり。すでに国内正規代理店である株式会社アスクの製品ページには販売終了のアナウンスが記載されており、今後購入できるかは不透明な状況。製品、特にクーラーの完成度は非常に高いだけに、安定した供給を期待したい。
協力:SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED
株式会社アスク