エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.633
2018.01.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後に「M9Pe」シリーズのヒートシンクの効果を確認していこう。負荷テストは「CrystalDiskMark 6.0.0」をデータサイズ32G、テスト回数9回に設定し、3回連続で実施。その時の温度推移と転送速度を「HWiNFO64」で計測した。なお今回は比較対象のため、「M9Pe(Y)」シリーズのM.2 SSDを取り出した状態(「M9PeGN相当」)と、「M9Pe(G)」(512Gモデル)のヒートシンクを装着した状態(「M9Pe(G)相当」)でもテストを実施した。
まず「M9Pe(Y)」のスコアを確認すると温度は最高でも53℃で頭打ち。さらに転送速度のブレも少なくサーマルスロットリングと思われる症状はまったく発生していない。一方で、冷却機構のない「M9PeGN相当」では最高77℃まで温度が上昇。転送速度も9回のベンチマークで乱高下しており、グラフからもサーマルスロットリングが発生していることは明らかだ。最後にアルミ製の小型ヒートシンクを備えた「M9Pe(G)相当」のスコアも確認していこう。温度は「M9Pe(Y)」よりは高く最高で71℃を計測。転送速度もやや上下するものの「M9PeGN相当」と比較すると明らかに安定しており、その効果は確実にある。
「M9Pe(Y)」のアイドル時(画像左)と高負荷時(画像右)のサーモグラフィー結果 |
「M9PeGN相当」のアイドル時(画像左)と高負荷時(画像右)のサーモグラフィー結果 |
「M9Pe(G)相当」のアイドル時(画像左)と高負荷時(画像右)のサーモグラフィー結果 |
またサーモグラフィー結果を見ると「M9PeGN相当」では、コントローラ部分が105℃に達しており、冷却性能が不足しているのは明らか。一般的なデスクトップPCで使用する場合には、「M9Pe(G)」または「M9Pe(Y)」を選択することを強くオススメする。
多くのメーカーから高速転送を謳うモデルがリリースされているNVMe SSDだが、シーケンシャルアクセス3,000MB/sec、ランダムアクセス300,000 IOPSを超える製品は未だにまれな存在。そんな中にあって、公称スペックでそのいずれもを上回る「M9Pe」シリーズのチューニングは、これまで多くの秀作モデルを世に送り出してきたPLEXTORといえども困難だったことは容易に想像できる。
しかし、その甲斐あって今回の検証では、シーケンシャルは最高3,200MB/sec、ランダムは最高395,000 IOPSを計測。さらにTLC NANDモデルながらベンチマークによる得手不得手もほとんどなく、まさに現行のNVMe SSDの中では最高峰のパフォーマンスと安定性を発揮してくれた。
大型のヒートシンクを搭載し、サーマルスロットリングを完全に解消できる「M9Pe(Y)」。RGB LEDライティング機能も標準装備され「M9Pe」シリーズの中でも特にオススメだ |
さすがにヒートシンクなしモデルでは発熱が厳しいものの、ヒートシンクモデルではサーマルスロットリングも最小限。特に今回メインで検証をした「M9Pe(Y)」の冷却性能は秀逸。さらにSSD製品では珍しくRGB LEDにも対応するなどフラッグシップモデルらしいスキのない仕上がりだ。3月には国内での発売も開始されるということなので、その登場を楽しみに待つことにしよう。
協力:PLEXTOR