エルミタ的「編集部で使ってみた」
2018.02.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後に「VF-1」の冷却機器としての性能をチェックしていこう。高負荷時はストレステスト「Fire Strike Stress Test」実行時の最高値、アイドル時はPC起動直後10分間放置した際の数値をそれぞれ採用。なお「NITRO+ RADEON RX VEGA 64 8G HBM2 LIMITED EDITION」搭載時の「Radeon WattMan」の設定は「バランス」で、GPU温度の計測には「GPU-Z 2.7.0」を使用した。
まず比較的シンプルなオリジナルクーラーを搭載するMSI「Radeon RX 560 AERO ITX 4G OC」の結果を確認していこう。アイドル時はオリジナルクーラーでも十分冷却できるため、「VF-1」の有無で大きな違いは出ていない。一方、高負荷時の温度は4℃低下し、風量増加によって確実に冷却性能が向上している。続いて実質3スロットを専有する大型クーラーを搭載する「NITRO+ RADEON RX VEGA 64 8G HBM2 LIMITED EDITION」を確認すると、ファンレス駆動となるアイドル時は42℃から40℃へと2℃低下。ただし、高負荷時の温度は、元々のVGAクーラーの性能が最適化されているためまったく違いは出なかった。
なおファンの回転数は、いずれのグラフィックカードでも変化はなく、静音効果についてはあまり期待しないほうがいいだろう。また「VF-1」のノイズは暗騒音の33.8dBAに対して、35.4dBAまでしか上がらず、CPUクーラー(Intelのリテールクーラー)の方がうるさかったことを付け加えておく。
最近のハイエンドグラフィックカードは、VGAクーラーの性能が大幅に向上していることもあり、冷却面では「VF-1」を導入するメリットはほとんどない。一方でクーラーにそれほどコストをかけることができないミドルレンジ以下の製品であれば、その効果は上々。GPUの温度を確実に下げることができる。また比較的発熱の多い高速なRAIDカードや、ネットワークカードとの組み合わせでも力を発揮してくれるだろう。
冷却効果もさることながら、RGB LEDによるドレスアップの魅力が大きいJONSBO「VF-1」。さらに汎用LED 4pinコネクタで接続するため、マザーボードと統一したライティングができるのもメリットだ |
さらに「VF-1」なら、一部のハイエンドグラフィックスカードにしか搭載されていないライティング機能を擬似的ながら下位モデルでも使えるようになるのはメリット。特にVGAクーラーはCPUクーラーと違い交換が難しい。またRGB LEDを搭載する製品がDIY水冷向けのウォーターブロックばかりであることを考えると、この手軽さは大きな魅力だ。とかく殺風景になりがちな拡張スロット部。「VF-1」を導入し、細部までこだわったドレスアップPCに挑戦してみてはいかがだろうか。
協力:株式会社サイズ