エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.648
2018.04.06 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
冷却ファンから最も遠い、ブラケット側M.2 SSDのコントローラ部分にセンサーを貼り付けて温度を計測 |
発熱の多いNVMe SSDを効率的に冷却するため、50mm口径の高速ファンを搭載する「Ultra Quad M.2 Card」。専用ユーティリティを使えばファンの回転数を制御でき、冷却性能と静音性を両立することができる。そこで、最後にファンコントロール機能とSSDの温度についてチェックしていこう。なおSSDの温度は、接触型温度計をSSDのコントローラ部分に貼り付けて計測を実施。アイドル時は10分間放置した後の温度、高負荷時は「CrystalDiskMark 6.0.0」(テスト回数9回/データサイズ32GiB)実行時の最高値をそれぞれ採用した。
ファンの回転数は「Ultra QUAD M.2 card Utility」の下にあるスライダーで、0%(OFF)/25%/50%/75%/100%の5段階から選択可能 |
「Ultra QUAD M.2 card Utility」では、SSDの搭載状況やPCI-Express 6pin電源の接続状況も確認できる |
アルミニウム製の大型ヒートシンクカバーを使用していることもあり、ファンを完全に停止した状態でもアイドル時は40.8℃、高負荷時でも45.2℃で頭打ち。常にストレージへのアクセスが続く処理でなければファンは止めてしまっても大丈夫そうだ。また回転数による違いを確認すると0%から25%では4℃温度が低下するものの、それ以降は冷却性能が飽和しているようで、あまり有意な差はでなかった。
続いてファンの回転数とノイズを確認すると、100%では6,500rpm前後、75%では5,500rpmまで回転数が上がり騒音値はそれぞれ51.1dBAと46.5dBAで、風切り音がかなり耳に付く。一方、50%では4,200rpm前後、25%では2,400rpm前後まで回転数が低下。騒音値もそれぞれ40.1dBAと37.2dBAまで抑えられ、バラック状態でもほとんどノイズは気にならなくなる。冷却性能と騒音値のバランスを考えると25%から50%前後での運用が良さそうだ。
なお「Ultra QUAD M.2 card Utility」が動作するのは、原稿執筆時点(2018年3月)「X299 Taichi XE」「Fatal1ty X299 Professional Gaming i9 XE」「X299 Extreme4」「X299M Extreme4」の4モデルのみ。それ以外の製品で使用する場合は、基板上の「Card Fan Switch」で制御する必要がある。
「Ultra QUAD M.2 card」の対応状況(2018年3月)。「Ultra QUAD M.2 card Utility」が動作するのは4モデルのみ |
マザーボード上のM.2スロットだけでは不可能な4台のNVMe SSDを搭載できる「Ultra Quad M.2 Card」。今回は変則的な構成にもかかわらず、RAID 0では10GB/secを遥かに超える超高速ストレージを構築可能。大型ヒートシンクと50mm口径ファンを組み合わせた効率的な冷却システムや、補助電源コネクタによる安定した電源回路により、信頼性や安定性にも不安はない。さらにRAID 10にも対応し、パフォーマンスと冗長性を兼ね備えたよりセキュアなストレージを構築できるのも大きな魅力だ。
導入のハードルは高いものの「Ultra Quad M.2 Card」を使えば、コンシューマ向けプラットフォームで10GB/secを超えるストレージを構築できる |
そもそもIntel VROC/AMD NVMe SSDをサポートするシステムが、Intel Core i9(Intel X299)もしくはAMD Ryzen Threadripper(AMD X399)の最新「HEDT」に限定されること。またSATA3.0(6Gbps)SSDより高価なNVMe SSDが4枚必要。さらにIntel VROCの本格的運用を検討しているなら「Intel VROC Upgrade Key」も別途購入しなければいけないなど、「Ultra Quad M.2 Card」を活用するためのハードルはかなり高いのも事実。しかし、そのハードルをクリアしてでも導入する価値のある製品だ。
協力:ASRock Incorporation