特別企画
2018.04.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi
3階から4階建てに増築された本社の社屋。この裏手にはPCケースが製造される工場があり、行き来ができるようになっている |
In Win製PCケースの製造は、すべて台湾国内で行われている。場所は台湾・桃園市にある本社の社屋に隣接する工場と、車で15分ほどの距離にある工場の計2カ所。合計600名ほどのスタッフが8:00から17:00まで勤務している。
取材にあたり、まずは増築工事が完了したばかりの本社・新社屋に到着。Regional Sales Manager Sales Divisionを務めるAndy Tsai氏の案内のもと、いよいよPCケース製造の中枢へと歩を進める。
シャーシ製造をはじめ、サーバー・ワークステーションの組み込み作業も行われているだけあって、マザーボードメーカーからの資材も多数保管されている |
本社社屋の裏手に位置する工場。資材の搬入および完成品の搬出を行うための広大な駐車場が併設されている。つまりIn Winの物流拠点という役割をも兼ねている |
まず向かったのはPCケース製造に欠かせない「金型」を製作するセクション。後ほど紹介する樹脂を原料とした「射出成形」をはじめ、プレス加工などで重要な役割を果たす。
ちなみに金型とは文字通り「金属素材」で作られた「型」であり、サイズやデザインが異なるパーツ毎に金型を用意。この精度によって、出来映えを大きく左右する、製造業におけるもっとも重要な資産と言える。金型製造を専門とする企業もあるが、In Winでは本社直轄の工場での自社生産、および管理が行われている。
高度な技術が求められるとあって、見るからにベテランといった風貌の作業員が多いセクション。頻繁に機械を止めながら、目視を行う作業が繰り返されていく |
金型の保管スペースでは、「303」などで採用される通気孔の金型も確認 |
完成した金型はテストラインへ送られ、まずはサンプルを製造。さらに計測ルームへと運ばれる。ここでは3次元計測機などを使い、金型が正確な寸法(公差の範囲内)で製造されているかを細かくチェック。もし問題が発覚すれば修正を行い、最悪の場合は金型の作り直す事になる。
3次元計測機を使ったチェックの様子。近くにはテスト待ちのパーツが用意されていた。なお、サンプルパーツは同一のものを3個用意。すべてが公差の範囲内に収められていれば合格だ |
細かい部分も拡大して確認できる投影機 | パーツの強度についてもここで試験を行う |
計測ルームを出ると、隣のエリアでは使い古しの金型の山が整然と置かれている。ここは生産ラインから戻された金型の修繕を行うエリア。扱う素材により多少の違いはあるものの、約10,000個の製造が行われた段階で金型のチェックが行われる。なお先ほどの計測ルームでチェックされた量産前の金型も、修正が必要な場合はこちらで作業を行う。
クレーンで運ばれた金型は、分厚くいかにも重厚な金属製作業台の上で修繕が行われる |
こちらは修繕を待つ金型の山。その中のひとつに、フロントパネル成型に使う金型を発見。持ち上げてみようと試みたが、ときに何万にもおよぶプレスに耐える金属の塊とあって、まったくビクともしない |