エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.655
2018.05.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD X470チップには「AMD StoreMI」の無料ライセンスが付属。HDD+SATA SSDや、HDD+NVMe SSDなど2つのドライブを統合して、容量を犠牲にせずパフォーマンスを改善できる |
続いて、AMD X470マザーボードの特典として新たに追加された仮想ストレージ技術「AMD StoreMI」の効果を検証していこう。SSDを使いHDDのパフォーマンスを改善する手法は、Intel Rapid Storage Technologyをはじめとしてこれまでも多数存在していたが、いずれもSSDをキャッシュとして割り当てるため容量が無駄になる欠点があった。一方「AMD StoreMI」では、HDDとSSDの2つのドライブを1つに統合して仮想ドライブを構築。頻繁にアクセスするデータをSSDに、あまりアクセスの無いデータをHDDにインテリジェントに配置することで高速化をしているため、SSDの容量が無駄にならなくて済む。またRAID/AHCIのストレージモードの切り替えも不要なため、導入が簡単に行えるのも大きなメリットだ。
ソフトウェアのインストールはウィザード形式のため初心者でも特に迷うことなく進めることができる |
インストールが完了後、すぐにソフトウェアを起動するとエラーが表示されて設定ができないことがある。必ずシステムを再起動してから設定を行うようにしよう |
インストールが完了したら、作成するドライブの形式を選択する。今回はHDDの起動ドライブを高速化するため「Create Bootable StoreMI」を選択した |
あらかじめ「chkdsk」やデータのバックアップをしておくようアラートが表示される。問題がなければ「はい」をクリックする |
起動ドライブと統合するストレージ(今回はSamsung SSD 960)の「Fast」チェックボックスを選択し、「Transform」をクリックすると仮想ドライブの構築が開始される |
仮想ドライブの構築が完了すると、OSからはHDDとSSDが1つのドライブとして認識される。なおパーティションの拡張は残念ながら自動的には行われないため「ディスクの管理」から手動で行う必要がある |
仮想ドライブにはさらに2GBのDRAMキャッシュを組み合わせることが可能 |
「AMD StoreMI」のインストールや、統合仮想ドライブの作成はいずれもウィザードが用意されているため初心者でも戸惑うことはないだろう。ただし、統合仮想ドライブを作成した場合、拡張したパーティションは「未割り当て」のままのため、「ディスクの管理」でパーティションを拡張するのを忘れないようにしたい。
Western Digital「WD3000HLHX」単体の「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコア | Samsung「SSD 960 EVO」と統合した場合の「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコア |
2GBのDRAMキャッシュをONにした場合の「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコア |
今回のテストでは、回転数10,000rpmのWestern Digital「VelociRaptor」の300GBモデルを起動ドライブに使用しているが、「AMD StoreMI」でSamsung「SSD 960 EVO」を統合することで、シーケンシャルは最高2.2GB/sec、ランダムは最高820MB/sec(約197,000 IOPS)へ、OSの起動時間も約70秒から約30秒に短縮されその効果は非常に大きい。なお2GBのDRAMキャッシュについては、OSの起動時間への影響はほとんどなし。「CrystalDiskMark 6.0.0」でも読込は高速化されているが、書込では一部速度が低下しているものもあり効果は限定的。メモリ容量にあまり余裕がない場合には、無効のまま使用したほうが良さそうだ。