- 編集部
PCケースを設計する際のポイントはどういったところでしょうか。
- William氏
いくつかありますが、まずは「強度」。高価なパーツを多数搭載するので、しっかりした作りが大前提です。2番目が「組み立てやすさ」。購入後にユーザーが気持ちよく自作できる構造です。代表的なのは、強化ガラスパネルの開閉に採用している「ツールレス・クリップ」です。
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「101」シリーズで採用されている左サイドパネル固定具の「ツールレス・クリップ」。押し込むとロックが掛かり、手前に引くと解除される仕組み。上部2点留めだがしっかりと固定ができる
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- William氏
3番目が「精度の高さ」。パーツの着脱がスムーズに行えるか。何度もテストを重ねて検証します。4番目は、強化ガラスの話でも触れましたが「安全性」です。バリ取りはもちろん、組み込みの際に怪我をしないように配慮しています。そして5番目が「質感」。ケースを触った時にチープな印象を与えないように、素材や塗装にもこだわっています。
- Andy氏
最後はやはり「満足度」。品質だけではなくコストパフォーマンにも優れている点です。「なるべく長く使ってもらいたい」という思いを込めて製品を作っています。「静音性」「排熱機構」などは、後からでも追加できる機能ですが、今話した6つのポイントは弊社のPCケース作りの核となっている部分です。
- 編集部
今後のIn Winはどのような製品を目指していくのでしょう?
- Andy氏
「Winbot」がそうですが音声やカメラによる操作に対応するなど、人とコミュニケーションをとれる製品を提供していきたいと思っています。また、2016年当時は採用が早すぎると言われた「805C」搭載のUSB3.1 Type-Cも、今では一般的な仕様になりつつあります。今後もPCケース市場の最先端を目指して製品をリリースしていきたいですね。
- 編集部
強化ガラスパネルの採用にとどまらず、In Winのケースデザインは多数のメーカーが模範(真似)にしています。
- Andy氏
COMPUTEXで他社のブースに行くとビックリすることがありますね(笑)。ただ、もう慣れました。弊社は常に新しいケースにチャレンジしているので、他社が出してきた古いデザインは気になりません。
止まらない独自スタイルの追求
今年もCOMPUTEX TAIPEIの時季が近づいてきた。今頃は各メーカー担当者も最後の準備に追われていることだろう。例年通り訪台予定のエルミタ取材班だが、実は毎年訪れるのを楽しみにしているブースがいくつかある。そのひとつは紛れもなくIn Winだ。
注目度抜群のコンセプトモデルを投入してくるIn Winブースは、会場の南港展覧館でもひときわ目立つ存在。ライバルであるメーカーが取材中に「In Winのあのケースは見た?」と話題にすることも珍しくない。メディアだけでなく業界的に注目度の高さがうかがえる。
強化ガラス素材の採用やフロントアクセスポートにUSB3.1 Type-Cをいち早く搭載するなど、常にPCケースのトレンドを先取りしたいという積極的な姿勢は実に刺激的。「成型と製造の限界に挑む」というコメントからは、今後もそのスタンスを継続していくという強い意志を感じることができた。6月に開催が迫っている「COMPUTEX TAIPEI 2018」への期待度はますます上昇。今から取材へ行くのが待ち遠しい。
協力:In Win Development Inc.
株式会社アユート