エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.658
2018.05.18 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ここまで「NF-A12x25」シリーズの進化を把握したところで、従来モデルとの比較を行ってみよう。一筋縄ではいかない汎用ファンだけに難しい解説になりがちだが、新旧を並べて見比べるだけで同じ冷却機器でも大きな違いがある事が分かる。
「NF-A12x25 ULN」(左)と「NF-S12A ULN」(右) |
「NF-S12A ULN」は、2013年2月にリリースされたロングセラー。主なスペックは回転数800rpm、騒音値8.6dBA、静圧0.62mmH2O、風量74.3m³/h。インペラ数は標準的な7枚で、風の抵抗を物理的に抑える事で静音化を実現するNoctuaの原点的なモデルだ。
両者を見比べると、フレームとインペラの隙間の違いもよく分かる |
次に用意したのは「NF-F12 PWM」だ。型番からも分かる通り4pinコネクタを採用するPWM仕様。主なスペックは回転数300~1,500rpm、騒音値最大22.4dBA、静圧最大2.61mmH2O、風量最大93.4m³/h。インペラ数は「NF-S12A ULN」と同じ7枚ながら、表面積および形状が全く異なる「Heptaperf Impeller」が採用される。そして画像の真裏に当たるフレームには11枚の「Stator guide vanes」を装備。静音性を保ちながら、大きな風量を得るように工夫されている。
「NF-A12x25 ULN」(左)と「NF-F12 PWM」(右) |
「NF-A12x25」シリーズの完成は、Noctuaにとって大きな出来事であったに違いない。長すぎるとも思える開発期間は、Noctuaが考える最も理想的な120mm口径ファンを完成させた。Jakob氏によると、さらに高い技術が必要とされる140mm口径ファンの開発にも意欲的で、間もなく開幕する「COMPUTEX TAIPEI 2018」でなんらかの進展があるかもしれない。
ここでロングセラー「NF-P12」シリーズの後継品をご紹介しよう。実は「NF-A12x25」の登場により、Noctuaのラインナップに若干の変更が加えられている。それが新型番の「NF-P12 redux」シリーズだ。
通称「redux edition」は、従来の空冷CPUクーラーおよび水冷ラジエターに向く万能タイプ。MTTF150,000時間以上のメーカー6年保証品で、高品質・高耐久はそのままにフレームとインペラ色を変更。「NF-P12」が姿を変え、購入しやすい価格に再設定されている。なお現在発表されているラインナップとスペックは以下の通りだ。
同時リリースされた「NA-SFMA1」は、「NF-A12x25」を活用するNoctuaからの提案。140mm口径ファン対応ラジエターに120mm口径の「NF-A12x25」を搭載するためのアダプターで、本来であればダウンサイジングという事になるが、”140mmサイズラジエターの性能向上を狙うため”に開発されている。
パッケージ内容は140mm口径用アダプタ2個と、防振ブッシュ「NA-AV4」8個。つまり2基の「NF-A12x25」がマウントできるというワケだ。
280mmサイズラジエターのCORSAIR「H110i」を使用した搭載例。装着後、防振ブッシュ「NA-AV4」は適度な長さにカットすればいい |
協力:Noctua(RASCOM Computerdistribution)