エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.667
2018.07.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
自作PC派ならお分かり頂けるはずだが、各ピンヘッダやCPU補助電源コネクタを挿す作業、さらにケーブルの取り回しにあれこれ頭を悩ませていると、感覚的に筐体の内部容積がおおよそ把握できる。この検証も例外ではなく、ここまでの組み込み作業から、決して内部空間がゆったりとしたPCケースではない事は分かった。ボトムカバーの存在もそう思わせる理由のひとつだろう。
さて組み込みセッションの最後に、水冷ユニットの構築を行ってみたい。おさらいすると搭載できるラジエターは、フロント部に120/140/280/360mmサイズ、リアに120mmサイズだ。中型ミドルタワーたる内部空間とはいえ、市場のニーズに応えようという設計思想が見てとれる。ここはフロント部を使って、大判ラジエター導入と行きたいところだが、最も現実的な120mmサイズラジエターを採用する、オールインワン型水冷ユニットを用意。ラジエターの搭載箇所はもちろん定番のリアを選んだ。
検証に使用したCooler Master「MasterLiquid ML120L RGB」(型番:MLW-D12M-A20PC-R1)。6種類のプリセットから発光モードが選択可能。カラー変更や輝度設定もできるスティック型「RGBコントローラー」が付属する |
CPUソケットと最短距離とあって、ラジエターをリアに搭載すると収まりが良い。さらに高さ42.2mmのポンプ一体型ウォーターブロックは非常にコンパクトで、空冷「MasterAir MA620P TUF Gaming Edition」に比べれば、かなりの空きスペースが確保できる。「TUF GAMING」デザインの空冷を選ぶか、見た目もスマートな水冷を選ぶか。これはなかなか悩ましい。
「MasterBox MB500 TUF Gaming Edition」のテーマは「TUF GAMING」デザイン。コラボレーションモデルとあって、同一コンセプトの構成パーツを集めれば、迷彩柄とイエローのアクセントが象徴的な「TUF GAMING PC」が完成する。それを彩るのが、標準で搭載されるRGB LED内蔵120mm口径ファンだ。フロントに2基、リアに1基の装備品は、追加購入する必要がなく、なにより出費を抑える事ができる。それだけでも「MasterBox MB500 TUF Gaming Edition」はお買い得な製品なのだ。
高さの件はさておき、さすがに「MasterAir MA620P TUF Gaming Edition」は収まりが良い。カラーを合わせる事で、より一体感のあるPCが構築できる |
ちなみにRGB LEDファンは付属の「Wired RGB Controller」により一括制御できる。対応マザーボードなら4pin RGB LEDヘッダに接続してのコントロールが可能。ヘッダピンが無いマザーボードでも「MasterBox MB500 TUF Gaming Edition」のResetスイッチコネクタを「Wired RGB Controller」に接続すれば、フロントパネル上部のResetスイッチをプッシュする毎に発光カラーが変更できる。「TUF GAMING」デザインのPCケースながら、それ以外での運用も想定されている事が分かる。実に使い勝手がいい。
「Wired RGB Controller」にある「SWITCH」端子にResetスイッチコネクタを接続。外部から発光色のコントロールができるようになる。なお給電用にSATA電源コネクタ1本を電源ユニットに接続する必要がある |
これほどまでに強化ガラスとLED発光を全面に押し出すPCケースの種類が増えると、さすがにどれを選択したらいいのか分からない。一見華やかだが、自作派がワクワクするような個性が薄れているようにも感じる。とは言うものの、PCケースメーカーの中にはこれを良しとせず知恵を絞り、新たな方向性を模索する動きが少しずつ出始めている。ASUS「TUF GAMING」シリーズにデザインされたコラボレーション企画は、まさにそれだ。
「TUF GAMING」シリーズは、今ASUSが売り出し中のゲーミングブランド。ゲーマーの心をかき立てる迷彩柄がその象徴だが、単なるデザインとしても洗練されており、他ブランドのPCパーツで構成してもなんら違和感はない。一方でコラボレーションパーツをチョイスすれば、コーディネートが苦手な筆者でもテーマに合ったPCを簡単に組み上げることができた。
強化ガラス製サイドパネル+RGB LEDファンx3基+「TUF GAMING」デザインの「MasterBox MB500 TUF Gaming Edition」は、付加価値の高いコストパフォーマンスモデルと言えよう。
協力:Cooler Master Technology