エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.669
2018.07.11 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
アイドル時はいずれも省電力機能によってクロック、電圧とも同等レベルに引き下げられるため温度は31℃台でほぼ横並び。また高負荷時でも定格ではおおむね59℃台で推移。Core i7-8700Kのようなスパイク値も見られず、コンシューマ向けのCPUであれば完全にその発熱を抑え込むことができる。また消費電力が大幅に増える4.00GHzでも温度は74.5℃までしか上がらず、Ryzenシリーズのオーバークロックにもしっかりと対応してくれる。
消費電力がほぼ同じレベルまで下がるアイドル時は、回転数は700rpm台前半で横並び。また高負荷時は定格で1,100rpm前後、4.00GHzでも約8割となる1,600rpm前後で回転数は頭打ち。RyzenシリーズはCore i7-8700Kよりも消費電力は大きいものの、TIMにグリスではなくソルダリング使用していることもあり、冷却については効率的に行えているようだ。
最後にデジタル騒音計によるノイズの違いを確認していこう。
回転数が低いアイドル時はいずれも暗騒音とほとんど変わらずほぼ無音に近い印象。また定格では高負荷時でも34.9dBAと非常に低く、グラフィックスカードやケースファンを搭載していれば確実にこちらのほうが気になるはずだ。さらに4.00GHzでもノイズは40dBAを超えることはなく、Ryzenシリーズならオーバークロックをしつつ静音性にもこだわったPCを構築できるだろう。
PCケース同様、横並びに見えがちなオールインワン型水冷ユニットは、競合が多く最も難しいカテゴリのひとつと言える。メーカーが頭を悩ませている事は容易に想像できるが、ユーザーも決め手に欠く多くの選択肢をやや食傷気味に感じているはずだ。そこへ投入された「LIQFUSION」は、長きに渡り「光」にこだわるENERMAXらしさをカタチにした。
外観上最も目を引く流量計一体型ウォーターブロック「フローインジケータデザイン」は、トップ部および冷却ファンに実装されたアドレサブルRGB LEDのライティング機能と相まって、ENERMAXらしい発光イルミネーションが楽しめる。同じくイルミネーションにこだわったミドルタワー「SABERAY」との相性もよく、やはり強化ガラス製サイドパネルを備えたPCケースと組み合わせたい。
肝心な冷却性能については、定格動作におけるCore i7-8700KおよびRyzen 7 1800Xいずれも、高いレベルでの静音動作が可能。アグレッシブなオーバークロック状態でも、十分に対応できる冷却パフォーマンスを実証してみせた。そしてもうひとつ印象的だったのはリテンション機構だ。無駄のない作業行程は洗練されており、マザーボードへ楽に取り付けを行うことができる。ささいな事だが、これも重要な訴求ポイントになる。
魅せ方にひと工夫を加えた「LIQFUSION」は、数ある選択肢の中から頭ひとつ抜き出た秀作として、大いに気になる存在になることだろう。
協力:株式会社クーラージャイアント(ENERMAX)