エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.672
2018.07.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
リテールクーラーはプッシュピンで固定するため、装着が簡単に行えるのもメリット。ただ若干冷却性能に不安が残る | 全高わずか47mmのロープロファイルCPUクーラー、SilverStone「AR11」。4本のヒートパイプを搭載し、TDPは95Wまで対応する |
基本的にリテールクーラーでの運用を前提としている「DeskMini 310」だが、CPUダイとヒートスプレッダ間の熱伝導にグリスを使用しているCoffee Lakeでは、高負荷状態が長時間続く処理では冷却性能にやや不安が残る。そこで、今回はリテールクーラーに加え、TDP95Wまでの対応を謳うSilverStoneのロープロファイルCPUクーラー「AR11」を借り受け、冷却性能にどの程度差が出るのかチェックしてみることにした。CPUはCore i5-8600、ストレステストは「OCCT 4.5.1/CPU:OCCT」を使い、30分経過した時点での数値を計測した。
アイドル時の温度はいずれも冷却性能が飽和しており32℃で推移。また高負荷時はリテールクーラーが82℃まで上昇するのに対して、「AR11」では68℃までしか上がらず実に14℃もの差がついた。6コアの上位CPUを使い、マルチスレッド処理を長時間行うなら冷却性能に優れたCPUクーラーへの換装を強くオススメしたい。
最後に各CPUクーラーの騒音をチェックしておこう。アイドル時はいずれも約38dBAで、デスク上に設置してもノイズが気になることはない。一方、高負荷時はリテールクーラーがほぼフル回転(3,000rpm)、「AR11」も90%前後(2,800rpm)まで回転数が上昇し、騒音値は50dBAを上回る。いずれもファンの風切り音は勇ましく、デスク上に設置した状態では長時間作業は正直厳しい。高負荷処理を長時間行う場合は、デスク下へ設置するなどの対策が必要になるだろう。
電源ユニットとほぼ同等サイズを維持しながら、Coffee Lakeに対応することで正当進化を果たした「DeskMini 310」。冷却や消費電力の問題もあり“K”シリーズには非対応となるが、このサイズで6コアCPUを無理なく動作させることができるのは素晴らしいの一言。プラットフォームの刷新により、メモリクロックも順当に引き上げられ、外部グラフィックス(グラフィックスカード)が不要なら、一般的なデスクトップPCとまったく遜色ない性能を手のひらサイズで実現することができる。
さらに「Ultra M.2」のSATA3.0(6Gbps)対応や、microSDカードスロットの追加など、細かな部分でのブラッシュアップも行われ、使い勝手も向上。USB3.1 Gen.2ポートの搭載が見送られた点は少々残念だが、最新ワイヤレス規格CNViへの対応も謳われており、拡張面でもおよそスキのない仕上がりと言えるだろう。
マザーボード、PCケース、電源ユニットが付属して税抜約18,000円はまさに破格。グラフィックスカードが不要なら、パフォーマンス面にも不安はない |
もちろん前作の人気の要因のひとつであるコストパフォーマンスはこのモデルでも健在。正直、マザーボード、PCケース、電源ユニットを個別に購入するよりも安く手に入れることができ、これからコンパクトPCを作るユーザーにとってはまさにベストバイと言える製品だ。
協力:ASRock Incorporation